不動産ナマ知識/教訓:積水ハウス55億円損失

【中間省略登記】

大手不動産会社積水ハウスが、東京の五反田のマンション用地購入に伴う取引で、「地面師」による詐欺にあい、55億5000万円を特別損失計上するというニュースを見ました。
ネットで8月初めに見たときは、あんな大企業であり、購入代金70億円もする土地取引であるにも関わらず、大きなミスをするんだなぁと思ったのですが、反対に騙したほうの悪い奴は本当にいっていうか、すごいです。

ネット上で知る限り、所有者から4月に購入した不動産会社Bが「中間省略」登記で、積水ハウスに転売するというスキームだったらしい。

「中間省略」とは、所有者→B→積水ハウスで所有者はBが転売することを承諾するので、登記簿にはBは現れてこなけれども、積水ハウスは物件を購入できるという手続きです。

【参考】三為契約(さんためけいやく)

【本人確認】

今回の場合は、所有者を名乗る70代の女性の本人確認できる為の「パスポート」が偽者だったということらしい。

本人確認は、昔よりうるさくなっていて、運転免許証や住民基本台帳カードやパスポートなどの写真付きのものは1つで、健康保険証や年金手帳など写真付でないものは2つ以上が必要です。

通常の不動産取引は、不動産仲介業者が本人と交渉し面識もありますが、例えば相続があった後、共有名義などで親と子供の2名なっていたりすると、その一方が遠方に住んでいたりして仲介業者の人も面識がない場合は多々あります。

その場合、仲介業者も本人に直接対面し、売却などの意志があるかなどを充分に確認していないケースとなる場合もあります。

※勿論、いつも共有名義の売主の方が、同じ思いの人ばかりではありません。その最たるものが”相続”により所有権の分散です。当事者同士の話し合いで売却そのものに賛成反対もありましょうし、売却する合意があっても、金額に対する考え方、当事者の配分方法、売却する仕事を任せる仲介業者の選定など、なかなかやっかいな問題が山積であります。

私も以前に買主側の仲介をした時にこんなことがありました。売主がお父さんと長男の共有名義である一棟売マンションの取引で、売主側の仲介業者さんが本人確認していますということで決裁に臨んだのですが、(長男の委任状はあったのですが、)司法書士さんが『ご長男が同席していなので電話をして確認します』ということになりました。ところが、ご長男は長野県の雪深い山中のホテルのコックをしている方で、ちょうど取引の時間が電話に出るのも難しい時間帯に重なってしまって、何時間も待ってから決裁したことがありました。

売主側の仲介業者の方は、それでも「大丈夫です、お父さんが了解しているから・・・早くしてください」って言っておりましたから、『何言ってるんや!アホちゃうか』って心の中で思っておりました。

他人間の取引でも最初から巧妙に売主を装い、不動産業者もグルでの「地面師」を巻き込んでの詐欺まで存在するというケースがあります。それが今回の詐欺事件だったようです。

今回のケース、積水ハウスの社長さん達は報酬の減額するそうですが、直接の担当者の方、その上司、司法書士、関係書類をチェックしていた弁護士、また間接的ではありますが、資金調達に関係していた金融機関の方達に及ぶまで、(私ごときが言うことでも御座いませんが、)誠に心中察するに余りあります。

気をつけなくてはなりません。

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