更地や建物付きの土地の売買契約する時に、買主から測量図を求められることが一般的ですが、その際に隣地境界を確認すると売主も気が付いてない越境物があったりします。
越境物とは、塀やフェンス、隣りの木の枝や根っこ、電柱から引き込まれている電線、地中にお隣の下水管、建物の庇など意外と気づかないものもあります。
売却する前に売主とお隣さんとの間で越境物の存在を確認して、速やかに撤去するのか、または将来撤去することを確認する必要があります。
そこで「覚書」で合意内容を記載することになります。
売主が売却して、新しい所有者に変わっても合意内容は引き継がれることを記しておきます。
但し、この「覚書」は当事者にのみ適用される文書です。
売却後の新しい所有者は、あらためて越境物の将来撤去について「覚書」を取り交わす必要があります。
覚書(案) |
●●(以下、「甲」とという)と、▲▲(以下、「乙」という)は、双方が所有する土地境界上の越境物について、以下の通り同意した。 |
第1条
甲・乙は甲所有の越境物が、別紙確認図の通り、乙所有の土地の境界線を越えて存在していることを相互に確認した。 |
第2条
乙は、甲所有の越境物について、建替えや改築等で現状変更しない限り、撤去請求をしないものとし、現状のまま所有・使用することを承認する。 |
第3条
甲は、甲所有の越境物について、将来に建替えや改築等を行う際には、自己の責任と費用負担において越境物を撤去し、越境物の乙所有地について所有権を主張しないものとする。 |
第4条
甲・乙は所有地を第三者に譲渡する際に、本覚書の権利・義務を当該譲受人に対して継承するものとする。 |
令和6年12月1日 甲:××××× 印 乙:××××× 印 |
尚、先の覚書(案)では越境されている側の所有者:乙が新しい所有者に変わり、新所有者として当該地に新しい建物等を建築しようとする際に、隣からの越境物が邪魔になり甲に撤去を申し入れた際に、その費用負担を誰が持つのかトラブルが発生するなど、微妙な問題もあります。