不動産ナマ知識/ミスは何故起ったのか!

タカタ・日産・東洋ゴム・そして神戸製鋼と大企業の不祥事が絶えません。なにかが緩んでいるのか、世の中の流れがそうさせているのか、よく判りません。

不祥事も大きなミスも根元は同じところから発しているのではないでしょうか。
そういえばこの前、某証券会社の営業マンが飛び込みでいらっしゃったのですが、すごく軽い感じで一方的にセールスしてくるので、この人「まだまだやなぁ」って思ってしまいました。最近、この手の時代遅れっていうのか、独りよがりのセールスってお目に掛かることが少なくなっていますから、ちょっと驚きました。

“不動産業界でもバブル崩壊後30年近くが経ち、バブル期に未成年だった人でも、今では第一線でバリバリ活躍するようになっています。
あの頃は不動産取引も活発でしたから、ごく普通の営業マンでも取引件数をこなしており、いろいろな取引上の手続やチェックポイントが自然と体験できて、自分のものになるというメリットがありました。
でも最近では取引件数自体も昔よりは少なくなり、ネット上で集客するような営業形態もはびこっていて人との信頼関係も希薄です。
また、権利関係の複雑な物件や大企業のリストラ物件などは入札方式が大流行ですので、仲介業者が買主・売主の間に入って話を纏めてみたり、慎重に物件調査しなければならない案件を自ら経験出来ないままに、バリバリと活躍することにもなってしまうことも多いのかもしれません。
そこで今回は、自分自身の経験を取上げて“ミス”はどういうふうに起り、また防げるのかを考えてみたいと思います。 (当時の関係者の都合もありますので、細部についてはボカシをかけておきました。)

何年も前のことですが、超有名企業のJ社がリストラ対策としての遊休地の処分、大手信託銀行のT社を窓口として買い客を探しておりました。
以前から順調な業績を続けていた社員20名程のS社が倉庫用地として購入を希望し、S社から受け取った『買付証明書』(注1)を提示し、多少のやりとりはありましたがJ社との商談は合意に達しました。
当然、契約前の『売渡承諾書』の提出を求めたのですが、T社担当者は「『売渡承諾書』なんて必要ありませんよ、うちも保証しますし、あのJ社が売るって言っているのですから…」と大手の信用力に押されてそれは諦めて、すぐに“重要事項説明書”や“契約書”の内容を文書化しようと言うことになりました。

それから数日後の夜、私にT社担当者から「どうしても今夜、すぐに会いたい…」旨の電話がありました。
 私ちょうどお風呂に入っていたのですが、「明日じゃダメですか?」と言っても聞いてくれないので、急いで自転車に跨って北浜まで行った次第です。
すると、T社担当者は今回の取引をJ社の都合で断りたいと言うじゃありませんか!
話を聞いてみると売主のJ社担当者(といっても総務部長さん)は、この間まで営業の第一線で活躍していた方で、この間総務部長に配属されて間もないとのことでした。今回の遊休地は30年前に取得したもので、その後土地区画整理事業の後、未利用地となり、減歩により従前の面積より減少したままの状態で、A社としても特別気になる土地でもなかったようです。(注2)
そんな土地をJ社の総務部長さんは自分1人で売却による処理を進めたのでした。
たぶん、このくらいの物件処理なら一人でできるって思ったんでしょうね。
そして、A社部長は従前の面積が書かれた古い登記簿謄本を見つけ、自ら資料を作成してT社担当者へ渡していたのでした。
私は、自分で直近の謄本を取得して実面積は確認済みでしたが、売主側は「坪100万円」とする表現で話を進めていたので総額(=面積×坪単価)が会話の中に出てこなかったのです。
私も坪数間違えるなんてことが、あの超大手J社と信託銀行T社に限って絶対ないと言う暗黙の了解がありましたし、こちらが『売渡承諾書』を希望した時も「うちみたいな大会社がそんなもん必要ない」って偉そうにしてましたから…
ですから、J社部長はT社からの契約書(案)を見たときに飛び上がって驚いたと言うことです。
いくつかのミス、J社総務部長の事務処理能力や実務経験・信託銀行T社担当者のチェックミス・思い込み…過信が重なって起こったケースですが、こうなった以上実情を知ることが出来ない買主は、買うに買えない状況になってしまいました。※売主・信託銀行の方から、買主には売主の都合が変わったので売れなくなったと言って欲しいと懇願されましたので、買主様には悪かったのですが嘘も方便と黙っておいたのです。売主J社は、その部長以外売却できなかった理由も解からないまま、その部長が退職するまでその土地を持ち続けたそうです。
被害者の買主はその後、全く別の物件を購入し、社業は相変わらず順調であります。
買い手側の仲介業者(私ですが…)は、1円の儲けも無く、心の処理をするのに大変時間がかかりました…。

何も知識・経験だけが総てではないけれども、宅建試験に合格しているからといって、不動産のプロになったわけでもありません。勿論、試験には合格しておかないといけませんが… 不動産自体は同じ物が2つとないので、それこそ1件1件がオリジナルの取引となります。
買う人・売る人も十人十色、いや百人百色とすると、不動産屋というのはそれ相当の時間と経験をかけてようやく一人前になれる職業だと思うのです。

ミスはなぜ起こったのか?
大きな会社だって人間一人ひとりの集合体ですから、間違いは起こります。
ましてや、不動産仲介の仕事は会社がするのではなく、大きな会社に勤めていても、担当者個人の能力・経験・判断がすごく重要な仕事だと思いますが、ご理解戴けますでしょうか。

(注1)『買付証明書』と『売渡証明書』
※下記HP「不動産ナマ知識コーナー」ご参照下さい
2002.4  売買契約前の重要書類について
(注2)土地区画整理事業

公共施設の整備、宅地の利用増進などを図るために、事業区域内の土地所有者から少しずつ土地を出しあってもらって、事業区内を整然とした区画にする。 そのため、土地所有者の仮換地される面積は従前のものより減少するのが通常であります。これを減歩と呼びます。 単に面積が減るだけなら損失としか考えられないが、整然とした区画の土地の利用価値は従前のものより高まると考えられるので、実際には損失には当らないと考えられる。 また、是正策として精算金などの制度もあり一方的な不利益は避けることができる。

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不動産ナマ知識/所有者不明の土地

全国で“所有者不明の土地”があるとNHKやマスコミでも取り上げています。
“所有者不明の土地”って、「不動産登記簿等にある所有者と、現在の所有者が直ちに判明しない、判明しても連絡がつかない土地」のことで、その総面積は九州よりも広いという推計による発表もありました。

良く似た言葉に、不在地主”っていうのがありますが、これは「その土地に住んでいない所有者」のことですから、必ずしも何処に居るのか判らないわけではありません。

 

国土交通省の調査では、日本の総面積3780万ヘクタールの約53%が私有地であって、その内の2割(筆単位)“所有者不明の土地”ということですから、すごい広さです。

【寄り道】①

土地の個数は、登記簿上で“筆”(1筆とか)という単位で表します。

空き家の問題と元は同じです。
どうやら、東日本大震災の被災地の復興事業で、土地の所有者の同意を取るにも“所有者不明の土地”の壁にぶつかり、立ち往生したことがこの問題の表面化に繋がったということらしいけれども、それ以前にも、各地の固定資産税徴収の担当ではある程度は予測できていたと思われます。

国(法務省)も研究会なるものを発足させて、法律的解決策を模索するらしいのですが、そもそも、相続や売買で所有権が変わっても不動産の登記は義務ではなくて、権利です
固定資産税を払うためにするのでもなく、市役所が所有者を把握するためでもありません。
不動産登記で“所有権の保存”をするのは、他人に私が所有していることを明かすためであって、申請するのは任意(本人任せ)です。
だから、その後、所有者が引越ししても登記上の住所を変更することは必須ではありません。

だから、50年前に死んだお爺ちゃんが住んでいた場所の土地の名義が、去年亡くなったお父さん(息子)から自分(私)に変わっていなくても、それ自体は罰金もお叱りもありません。
ただ、つい10~20年まで、日本って土地神話があって下がらないと皆が思っていたので、田舎の土地でも殆どの人は財産だと思って相続登記していたのでしょうね。

でも、登記費用も要るし、毎年固定資産税も支払わないとダメだし、これからも田舎にも殆ど帰らないし、そもそも売るにしても誰も買ってくれる人が居ないし、資金を引っ張るだけの資産性もなさそうだし・・・そんな人が日本国中にいっぱい居ることが判って、どうしようとしているのが今の状況です。

土地(財産)の値段が下がると、いろいろな問題が派生するものです。最近では、資産価値の低い“不動産”のことを、“負動産”なんて見掛けることもよくあります。

【寄り道】②

私の実家も親が亡くなってから、20年以上土地の名義を変更していませんでしたが、役所の人が調べて長男宛に固定資産税納付の通知書を送ってきていました。

土地の価格の二極化は、都会と田舎だけではなく、都市部内でも発生しています。
原因は今まで書いてきたものと同じですが、相続税課税強化と少子化によって都市部の実家の引き取り手に困るケースです。

これは個人的な意見ですが、一昔は長男が実家を継いで、親と同居して暮らしたものでしたが、昨今、たとえご近所であっても親は親、子供は子供で別世帯のところが多いようです。
親が亡くなると、大なり小なり揉めます。
ご近所に住んでいても、親の面倒は見ていたとか、いや、俺は長男だとか言い出すと、揉めます。大きく揉めると、不動産の相続ややっと不動産を売却することに合意したとしても、どこの不動産業者に任せるのかで一騒動し、売却した金額の配分でまた揉めて収拾が付かないなんてこともあります・・・そして、相続登記することなく数年経ちますと、相続人も歳をとりますから…

団塊の世代が80歳を超える2030年以降は、毎年の死亡者数が160万人超とかで、大量の相続が発生する見込みです。

【寄り道】③

“所有者不明の土地”でもなく“不在地主”が税金を払わない族が話題になったことがありました。
数年前から外国の(ファンド、とか大企業とかではない)人が、日本の分譲マンションや戸建住宅、山林などの土地を購入することが日常的に行われております。
当初、固定資産税をどこに送ったらいいのかとか、管理費の滞納が何ヶ月もあって困っているという話を耳にしました。
2年ほど前に、税制改革があって「納税管理人」という制度が始まりました。

納税管理人は、日本で申告が必要な収入(所得税)、日本国内に住所がある場合は住民税、日本の不動産を所有している場合の固定資産税を支払う納税事務処理を行います。

固定資産税については、1月1日現在の不動産所有者に課せられますが、仮に大阪市内に自宅や賃貸不動産を所有して出国して非居住者となる場合は、固定資産税の(大阪市内に住所がある)納付管理人を選任する必要があります。手続きは、不動産の所在地(市区町村)に「納税管理人申告書」を提出します。

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不動産人/アパートローン一巡か?

個人向けのアパートローンが急減速しているという。
今年4~6月の新規貸出金額は、前年同期比15%減の7171億円。(日銀)
相続税対策の目的でアパートを建てる波が落ち着いてきたからでしょう。

大阪市内に住んでいると判りにくいけれども、郊外や地方に行くと同じようなアパートや、マンションが建て並んでいる光景に出会うことがあります。
分譲では無さそうな雰囲気は見れば判りますから、賃貸用に建てられた共同住宅です。

地主さんの遊休地利用と相続税対策、老後の資金造りにと考えていて、他方、貸出先の少ない金融機関とテレビCMや地元で有名な建築業者が一緒になって営業した結果でしょう。

日本国中で人口が減少する中、都心以下の収益物件は苦戦を強いられるのは必死です。

数年前に三重県の一棟売マンションの資料をもらった時、全70戸の部屋が空室(大手のブラジル人従業員の解雇があったとのこと)の状態でしたので、買主を見つけるためには、まず入居者をどうしたら確保できるか考えて当たったのですが、上手くいかず断念したことがありました。
その後、その物件が大阪の不動産会社が購入し、別の大手製造業の社宅として入居契約をして成功したと知りました。

不動産業者であれば、なんとか対処のしようもあるのですが、初めてマンション経営する方ではいろいろな対策は人任せになってしまいますので、それは大変です。

郊外や地方に行くと、(大阪市内では考えられないでけど)駅前に不動産屋さんが一軒もないような処がたくさんあります。

それだけ、不動産屋にとってニーズが無いのでしょうね。

収益物件はテナントや入居者が入ってこそ、収入になるって建てるときは実感できないのかも知れません。

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不動産ナマ知識/宅地建物取引士

「宅建主任者」から「宅建取引士」へ

「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」に名称変更するなどの宅建業法改正が、国会で可決され後の2015年の4月1日から施行となりました。 一見すると、わざわざ「…主任者」から「…士」に変更するだけなのに大袈裟なことをと思いますが、実はなかなか大変な手間と年月が掛かっております。 法案等によりますと・・・暴力団に関係した人は、そうでなくなった日から5年間経過すること、暴力団関係者がその事業活動を支配する場合はダメ。

「宅地建物取引士」を含めた宅建従事者の倫理規定・コンプライアンス意識と、重事項説明の内容が年々増加するなど、取引に関する法律や関連制度が多様化するため宅地建物取引士の責任は益々重くなっています。

確かに、かつての重事項説明書は一棟売マンションでも、A3用紙一枚だけなんてのも見たことがありますが、今では考えられないことです。

その為、専門的知識の習得などに更なる研修制度が実施されています。 我々当事者としては、これらが有料化されたり、新たな団体に加入したりするのを恐れている次第です。なぜなら、今まで新しい制度や法律の整備がなされると、それが新たな天下り先に繋がる口実なんてことだったら由々しき問題だと思うからです。 「宅地建物取引士」は、その不動産会社の営業関係者の「5人に1人必要」というのが絶対数必要ですが、以前からくすぶっていた「3人に1人必要」にしようというのは、当分の間はなさそうだというのです。理由は、十分な教育を受けた「宅地建物取引士」がいて、その他の従業員もボトムアップするからその必要はないということらしいが・・・正直いって、その意味はよくわかりませんなぁ~

いわゆる“士業”といえば、弁護士、不動産鑑定士、司法書士など「士」と呼ばれる専門性の高い国家資格の俗称ですが、最近では、マンション管理士やファイナンシャルプランニング技能士などの新参ものもありますが、「宅地建物取引士」も専門性の高い国家資格だと言うのであれば、不動産の営業に関わる人は全員その資格を持つことが望ましいのじゃないでしょうか。

「宅地建物取引士の記名押印」

売買や賃貸借の契約をする時には、その契約前に宅建業法第35条に定める重要事項の説明、重要事項説明書への記名押印及び同第37条に定める書面(契約書等)への記名押印は、「宅地建物取引士」が行う必要がありますが、不動産業者でも意外と勘違いしていることがあります。 まず、宅建業者が売主の場合や複数の仲介業者が存在している取引の場合も、すべての宅建業者が宅地建物取引士の記名押印をしなければならないということ。

宅地建物取引業法  第37条1項(書面の交付)

(注)1項は「売買又は交換」2項は「宅地又は建物の貸借」でほぼ同じような内容です。

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
■取引の当事者の氏名(法人にあつては、その名称)・住所

■物件の住所・所在、地番・種類、構造

■取引金額やその支払の時期及び方法

■引渡しの時期・移転登記の申請の時期

■契約の解除に関する定めがあるときは、その内容

■損害賠償額や違約金の内容 ■天災その他不可抗力による損害の負担と内容

■当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任

■公租公課の負担と内容・・・・・・等が主たる事項です。

 

それに、宅建業法第37条では、いちいち細かくは書いていませんが、売主が業者の場合、仲介業者が記名押印しているから売主自らの記名押印を不要だとはしていません。 また、仲介業者が複数の場合、根付業者が代表して記名押印すれば、その他の中間業者は仲介手数料を受け取るために領収書さえ持ってくればイイというものではありません。

昔ほどではありませんが、今でも意外といいラフな場合も多いようですが。

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不動産人/住居表示と地番

法務局の申請書類に『地番・家屋番号は、住居表示番号(○番○号)とはちがいますので、注意してください。』と書いてあります。 そうです、「住居表示」と「地番」は、通常同じではありません。

(田舎に行くと、地番と住所が同じところもありますが・・・)

「地番」→「その土地の登記簿での所在地・番号」

「住居表示」→「建物の表示で、そこに住む人の住所・番号」

として利用しています。

法務局では、土地はすべて「地番」で登記されていますし、建物の登記簿上の「家屋番号」も「地番」が分かれば調べることができます。

■住居表示のしかた■(大阪市)

(町名)

(街区符号)

(住居番号)

大阪市××区 ××●丁目 ●番 ●号

マンションは、●―●号

棟番号と各戸の番号

※街区符号のつけ方は、数字を用い、大阪城にもっとも近い街区を起点として、連続蛇行式により順序よくつけるものとする。

※住居番号のつけ方は、大阪城に近い街区の角を起点として原則として右廻りに街区の境界線を10m間隔に区切り、住居番号の基礎となる番号を当該間隔に順次つける。 (大阪市住居表示実施基準より)

 

■地番の意味■

元々「地番」は(明治時代の地租改正以来)固定資産税を聴取するために個々の土地につけた番号です。

だから、“固定資産税・都市計画税”の請求は所有者の住所に着ますが、対象不動産の表示は「地番」で行っています。

土地を特定するためにつけた番号と、その所有者を明解にするための登記することになります。

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不動産人/「契約の履行に着手」って何ですか?

「契約の履行に着手」っていう言葉が売買契約書には書いてありますが、どいうことなのか?

不動産の契約は“一括決済”と言う“契約と決済を同時に済ませること”もありますが、多くの場合、契約時に手付金のみを支払い、残金を決済日に支払って取引を終了するのが一般的です。

でも契約後、売主または買主から解約を申し出ることもあります。

売買契約書において、手付金は「当事者の一方が契約の履行(※注1)に着手するまでは、買主はその手付金を放棄して、売主はその倍額(※注2)を支払って、契約の解除をすることができる」とする手付け解除の契約内容が一般的です。

※注1…契約が速やかに完了するように実行すること。
※注2…受領済の手付金を返還し、かつそれと同じ金額を支払うということ。

でも、このような解除権が契約後いつでも使えるということでは、相手方が不測の損害を被ることになりますので、その時期について一定の制限が必要だと考えられています。

その“一定の時期“が「当事者の一方が契約の履行に着手するまで…」というものです。

不動産の売買契約において“契約の履行”とは、次の行為を行なうことだと考えられています。

売主の行為 所有権移転登記の手続

分筆登記の手続(一筆の土地の一部の売買)

確定測量図の作成(実測売買契約)

買主の行為 内金(中間金)の支払

 残代金の支払

契約解除に伴い相手方が履行の着手している場合は、手付金の放棄や倍返しだけでなく損害金を支払う必要が出てきますので、当然のことながらよく考える必要があります。

勤務先の倒産、急な転勤、家族の病気なども売主には関係がありませんから白紙解約は難しいので、買主は手付金を放棄しなければなりませんし、反対に、売主の立場で同じようなことがあったら、倍返しの対象になります。

(中間金は返ってきますし、返さなければなりません。)

但し、停止条件付契約として“ローン特約”“買い替え特約”がある場合は違いますよ。

ローン特約を付けて契約をした場合は、予定していたローンの承認が得られなかった場合や、予定していた金額に足りなかった場合は、白紙解約できますので、手付金は帰ってきます。

ただ、いいかげんな遅滞行為や虚偽の申請行為などにより、約定の時期までに承認が得られなかった場合などは、白紙解約できませんので、契約後すぐに金融機関に融資申し込み手続きをする必要があります。

★契約実務に関する記事★

売買取引の習慣、大阪と東京の違い

事業用不動産の売買契約前から決裁までの流れ

個人の低額売買契約について

三為契約(さんためけいやく)

高齢者の不動産取引

ローン特約

「瑕疵担保責任の免責」と「現状有姿」

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不動産人/公的価格と実勢価格

9月19日に国交省が発表した「平成29年都道府県地価調査」によると、京都・大阪と関西圏の商業地がアップ率で全国最上位に就ける健闘ぶりです。

原因が、外国人観光客の増加による店舗・ホテル需要や、オフィス空室率の低下による収益性が上がったことであることは間違いありません。賃貸や分譲マンションの仕入れ金額とホテルや民泊施設の購入価格は2~3倍以上ありましたから、地価を押し上げるには十分でした。(←過去形になっているのは、一応ブームはいっぷくした感がありますので・・・)

でも、そもそもベースはとなっているのは、超低金利だからです。

公的価格

この間、国交省のアンケートが着ておりましたが、バブル期に地価が高騰し、固定資産税評価額もアップした時期に特例として負担調整させて納税額を押さえ込んでいるのですが、その特例措置が来年切れることにどう思うかっていう内容でした。

誰しも、税金が上がるのは好きではありませんが、ズーっと負担調整率でごまかしていても、また年金みたいに訳が判らなくなるのも怖いですね~(笑い)

 

≪土地の公的価格≫

公示価格

基準値価格 固定資産税評価額 路線価

内 容

一般の取引の指標 公示価格の補完 税金計算の基礎 相続税等の基礎

基準日

毎年1月1日

毎年7月1日 前年1月1日

(3年に1度)

毎年1月1日

公開時期

3月下旬

9月下旬 4月ごろ

7月下旬

管 轄

国交省 都道府県 市町村

国税庁

 

公示価格を100として、路線価80、固定資産税評価額70を目安としているとなっていますが、固定資産税評価額は3年に一度の見直しですから、ブレがあるのは避けられません。

 

実勢価格

実勢価格は実際に取引される価格(←過去形)ですが、いわゆる売り値(←希望価格)とは違います。

収益物件が不足気味である今のような状況では、売り値は高めに成りがちです。

将来、様々な状況が変化すれば買い手の付き難いことになりますので、売り値も調整局面を迎えることにもなりましょう。

でも、その時に購入者の状況も変化しているので、いつが一番いい時期なのかは、なかなか悩ましい問題であります。

不動産は生ものですから、旬を逃すと美味しくいただけない・・・

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不動産ナマ知識/金融機関の融資基準

【今の不動産融資姿勢】

正直なところ、弱いながらも“逆風”が吹いている感じですよ。

国の年金資金の運用や、低金利の金融機関も貸付先に苦労していますから、株式運用や不動産融資に特化してお金をつぎ込んでいる訳でしょう。だから昨年・一昨年あたりは、不動産融資も緩々(ゆるゆる)だったのかも知れません。だから今は少し調整局面なのかも知れませんが、これからもズ~っと不動産融資だけが順調だなんて嘘でも言えません。
昨年の不動産融資額がバブル期を超えたなんてニュースを目にしたのはつい此間でしたが、個人的な皮膚感覚では1~2割位融資が厳しくなっているという感覚です。

それでも、できるだけ手持資金を使わずに収益物件を手に入れようと考えている人が多い状況は、今のところ変わりっていないようです。

購入を検討できる収益物件の数も減っていることも確かです。

不動産融資というものを、購入者側と金融機関側の双方から見た3つの要素【担保評価】【与信】【融資基準】について考えてみます。

【担保評価】

金融機関に融資申し込みをするときの第一関門が、担保評価です。

「物件の価値」には、その金融機関独自の掛け目があって、融資限度額になります。

担保評価はどこの金融機関でも同じではありませんし、融資担当者や支店によっても異なりますから、よく「自分は此の位の金額なら借入れ可能だから・・・」って思っていても、最近の傾向では買主様ご本人の希望する融資金額は1~2割くらい不足する感じです。

人には厳しく、他人には甘いのが世の常でございます。

【与信】

融資対象の不動産評価とは別に、融資申込者(法人や個人)の信用評価を与信といいます。

法人であれば、決算内容やキャッシュフロー、個人であれば収入・支出を、そして買い主様が現に保有している資産の内容が与信に影響します。

購入しようとしている不動産の利回りがそれ程でなかったとしても、節税効果や本業の収入に余裕があれば融資は楽です。 その反対の場合は、融資額はご本人が思っているほどでないこともありますが、これはあくまでその金融機関が判断することですから、意に反する場合であっても仕方ありませんよ。

ここだけの話ですが、この融資申込者の与信は、かなり伸縮自由であってA氏は満額融資を受けれたのに、B氏は80%の融資しか承認されなかったりする理由が判り難いから厄介です。 そうそう、金利も金融機関のみならず融資申込者によっても、「へぇー!」って言うほど違う場合もあります。

【融資基準】

不動産投資のリスクとして、金融機関の融資基準そのものの変化があります。〔変更といった方が正しいかも知れません。〕

“リスク”って危険とか、マイナスとかじゃなくって、資産運用で言うところの“リスク”は、結果のバラツキ具合を意味します。つまり、マイナスの場合はもちろん、プラスになった場合も同じく「リスク」というのです。

不動産融資に対して厳しい目で審査する金融機関でも、景気が上向くなりその兆しが見られるとなると基準を変化させます。

従来、不動産担保評価の基準として利用されていた「固定資産税評価額」「路線価なども、一時、「収益還元」(≒収益性)に取って代られた時期もありました。 最近では建物の「検査済証」の有無で融資の可否を決定したり、「建築年数」を盾に融資の期間を決めることが多いようです。 融資が厳しい時期には、結果として購入できる人や法人が少なくなります。

信用金庫や信用組合など中小金融機関には不動産融資に意欲的なところも沢山ありますが、物件探しだけでなく、金融機関の融資姿勢も研究しておくことが大事です。

 

この前、某信用金庫の方と話をしておりました。そのときの話しでは、今の融資基準としては、「鉄筋コンクリート造の場合、新築で57年」の融資期間が可能、「鉄骨造の新築物件なら44年間」だそうです。

つまり、平成9年新築の築後20年経っているRC造の収益マンションがあるとすれば、融資期間を“57-20=37“→37年間で計算してくれるということです。

仮に融資を受ける金利が3%だとすると、1億円かりて月額返済約373,000円となりますので、そのマンションの表面利回り8%(年収800万円)とすれば・・・

収支では、年収800万円-(月返済額37万3千円×12月=447万6千円)=352万4千円です。

ここから固定資産税や管理費・補修費などを控除して、最終的な収益が決定します。

でも、税金はまだ払ってないことをお忘れなく!

 

巷では、築年数の新しい収益物件が人気です。先の要件である、融資期間が長くて、いわゆる遵法性(←建築基準法などに違反していないということ)を満たしているので、金融機関も融資対象に成りやすいからです。

それに大阪でも、築年数の新しい物件の利回りは5~6%位と少し前に比べて低くなっているので、低い金利で融資を受けることの出来る買主様や、手持ち資金を物件価格の2~3割投入できる買主様ででないと収支が合いません。

一般的な尺度でいうところの富裕層・資産家の方が、資産運用のひとつとして不動産融資をしてみるって感じでしょうか。

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不動産人/“表面利回り”と“収益還元利回り”

事業用不動産購入、特に収益物件を買おうとするときには、今後の金利の動き、景気の動向、家賃収入の推移などを予測することが必要です。その上で、収益性を考える指標として『利回り』について考えます。ただし、『利回り』は時代や経済とともに変動するものであります。

一般的に使われている『単純利回り』(“グロス利回り”とか“表面利回り”とか言います。)は、要するに現時点での収入で逆算して、その不動産の価格を求める方法です。

年間収入500万円 ÷ 期待利回り10% =5000万円

別に『DCF法』(ディスカウンティド・キャッシュフロー)と呼ばれる収益還元法があります。

この方法は不動産投資に関するいろいろな要素を念頭に利回りを予測するもので、且つ、投資期間を定めて投資分析することが可能ですので、収益用不動産を金融商品としての観点から分析できますので、不動を投資信託商品として検討する会社の購入判断をする際にも使っています。

予測する要素は、調達金利、賃料の変動、空室率、現時点での購入予定価格と将来の売却予想価格、購入時や売却時の費用など多岐に渡ることからそれなりのデータや経験がないと計算できません。

『DCF法』は、不動産価格の「正解」を出すものではありませんが、不動産投資の判断基準のひとつの材料です。

例えば、年間純収益4500万円 期待収益率6%  5年後に転売した場合は …

売買予定価格4億円 4500万円×4.212(注1)+4億円×0.7473(注2)=4億8846万円

この数値は、4億8846万円以下で投資すれば6%の期待収益率を得ることが出来るというものです。

注1 年金現価係数   注2 現価係数

※これらの係数については、結構ややこしいので、次回「6つの係数」をご覧下さい。

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不動産ナマ知識/生産緑地地区について考えてみよう!

【生産緑地2022年問題】

都市計画上、市街化区域内の農地は“宅地”並みに固定資産税を課して、宅地化を促進していくことになっているけれども、「生産緑地」(注1)の指定を受けた所有者は、納税の負担を少なくすることができます。

ただ、全国80%の生産緑地の所有者が30年の営農義務が期限を迎える2022年に、生産力からの変更をする土地が大量に出てくるのではないかと言われている。

(注1)生産緑地

1992年の改正生緑地法によって指定を受けた土地は、固定資産税は農地として、相続税については納税猶予が受けられる「生産緑地地区」(大半が大都市圏:注2)ができました。

条件:面積500㎡以上の良好に耕作されている農地

地主は農業を30年間続けることが義務付けされる

建築等の新築や宅地造成等の土地の形質の変更は原則としてできない

 

(注2)単位:ヘクタール

地 域 市街化区域農地 生産緑地地区
(全 国) 15,793 14,182
東京都 1,055 3,521
大阪府 1,278 2,210
埼玉県 2,964 1,808
神奈川県 1,480 1,478

各数値は平成22年現在のものです。

農業それ自体を、大都市で行っていき続ける人は少ないと思いますが、生産緑地の地主さんの多くは、既にアパート経営や貸し駐車場などの不動産賃貸経営をしていることも多いのではないでしょうか。

500㎡以上というと、150坪超ですから、都会では大きな財産です。

この際、売却して換金しようと考えている方もいらっしゃるでしょうから、仮に、大阪府下の2210haの1割の生産緑地が売却物件として市場に出ると、66万78525坪の宅地が生まれることになります。(1ヘクタール=3025坪)

30坪の土地なら22,284戸分の建売住宅ができます。

300坪のコンビニなら、2万2261戸の店が生まれます

そうそう、なにも売却するばかりではなく、土地の有効利用として、300坪のコンビニなら、2万2261戸の店が出来ますし、「貸家建て付け地」や「アパートローン」を借りることで、相続税対策として賃貸マンションをお考えならば、建売住宅の何倍もの戸数の住居が大阪市府下に建つでしょう。

日本の空き家総住宅数は,6063万戸と5年前に比べて5.3%の上昇し、空き家率は,13.5%と過去最高になりました。(平成25年度総務省調査)

勿論、大都市圏よりは地方の方が人口減少・高齢化が進んでいるので空き家率は高めではありますが、大都市圏でも中心分や人気のエリア以外は、入居者の確保はかなり厳しいものがあります。

2022年まで、まだ5年あるなんて言わないで、ボチボチ考えてみませんか!
ご先祖さまの残した土地について、総合的な判断で、良き対処をご協議ください。

【国の対策も…】

9月6日の日経新聞によると、農水省と国交省が「生産緑地」問題について、そろそろ法案の整備に取り掛かっているようです。まず、「生産緑地」の賃借をNPOや企業向けに認める制度を整え、その場合は、相続税の猶予を与えるとあります。また、賃借する場合の農業委員会の承認の代わりに、市区町村の承認でOKとするようなことも考えているとの記事を見掛けました。

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