去年の今頃は不動産業界もなんとなく景気が良かったのですが、今年は金融機関の融資の絞込みがあってかなり雰囲気が違います。
きっと昨年・一昨年あたりの反動なのでしょうね。
でも、きっとまた潮目が変わる時がやって来ます。
ただ、それがいつなのかは分りませんが…
≪個人から個人への低額譲渡≫
以前、親子間で土地を時価の約80%で売買した際、時価との差額に贈与税が掛かるか否かが争われた訴訟があって、東京国税局が課税を取り消したという新聞記事を見ました。
夫婦や親子間での売買の場合に、取引価格を低くして実質的な贈与を行うことを防ぐ場合があると思いますが、この判決は“時価の80%”であれば夫婦であろうが、親子であろうが通常の売買とみなすということだったようです。
この80%というラインは、相続税路線価を「時価の80%程度」とした課税基準の考え方に基づいているからです。
著しい低額譲渡とは、そこがボーダーラインになっている。
路線価の価格が絶対に正しいなんてことはないと思いますが、価格操作が出来ない一定の“ものさし“として利用することは一応公平性を保っていると思います。
著しく低い価額の対価であるかどうかは、個々の具体的事案に基づき税務署が判定することになりますが、一般の個人間での取引価格が結構割高だったり、反対に割安だったとしても通常は贈与税の対象にはなりません。
それは、親子間売買や、恣意的な取引をしたという裏がないということが分かるからです。
通常は、売主と買主の気持ちは裏腹であって、売る人は高く、買う人は安くと思っているものです。
もちろん、例外はありますが、ちゃんとした仲介業者が介在して行われた商取引だということだからです。
だから、個人同士で直接売買契約をすると、何かあるなと怪しまれることがありますね。
(1)お父さんが、路線価等8億円の物件を10億円で購入もしくは所有している。
(2)その物件を子供に8億円で売却する。 (3)一般個人間の不動産売買でも通用する取引として終了。 (4)子供に贈与税は掛からないし、お父さんも売却損(▲2億円)が出て譲渡所得税は掛からない。 |
≪個人から法人への低額譲渡≫
個人から法人へ不動産譲渡した場合、売買価格が時価の2分の1未満だった場合には、売主の個人に対して「低額譲渡」として時価での譲渡として「みなし譲渡所得課税」されますし、買い手の法人に対しても「利益」を得たとの判断から法人税が掛かります。
≪参考≫
売主 |
買主 | |
個人から個人へ低額譲渡 |
所得税 |
贈与税 |
個人から法人へ低額譲渡 | みなし譲渡所得税 |
法人税 |
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