不動産ナマ知識/インボイスの影響と不動産取引実務

10月1日からスタートしたインボイス制度、直前になって評判の悪さから岸田総理もあわただしく対策会議などやってましたが、今更何をって感じです!

たぶん多くの人は会社の決算や個人の確定申告の時に、インボイス制度の煩わしさを実感することになるのだと思います。

不動産売買においてもインボイス制度は影響するのでしょうが、ここでは仕入れ控除がどうとかいうようなことは税の専門家にお任せして、不動産の取引実務のテーマを4つ取り上げました。

 

【土地・建物の区分は必須】

一棟売物件に限らず、収益物件の売買はいまだに土地・建物を分けずに取引を行うケースが多い。

売主・買主で都合のいい仕分けを行っているのですが、インボイス制度が始まると建物金額を明解にする必要があると思われます。

【固定資産税の清算金】

不動産売買を行うと取引金額とは別に、年間の固定資産税を日割りして売主と買主の間で金銭のやり取りを行います。

固定資産税自体は毎年1月1日現在の所有者が支払うことに決まっていますが、不動産取引の商慣習として日割り按分するのが半ば当たり前になっているのです。

ところが、税金の世界ではこの清算金は取引金額の一部なのです。

だから、インボイス制度ではその金銭の内の建物部分は消費税の課税対象になります。

これって実務的には無茶苦茶めんどうくさい事務作業です。

 

【持ち回り保証金】

関西では収益物件の売買取引する際に、その物件の賃借人(テナント)が入居時に家主さんに預けた金銭(保証金・敷金)を買主が引き継ぐものとする「持ち回り」の契約をするケースがあります。

最近では関東方式と称して、預り金の金額を売主から買主に実際に支払うケースも増えていますが…

インボイス制度では、税法上この「持ち回り」金額は売主にとって「譲渡収入」と見なされるので、その金額を土地と建物に按分して建物分の消費税額を計算する必要が出てきます。

 

【三為契約のインボイス】

売主A⇒買主B、売主B⇒買主Cという流れで不動産取引を行い、Bの登記手続きを中間省略して売主A⇒買主Cと移転登記を行うことを三為契約と呼びます。

登記費用が安く済みますし、不動産取得税も見つからなければ掛かりません。

でも、インボイス制度はA⇒BとB⇒Cの2つの契約関係についてインボイスを発行する必要を求めるはずです。

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国会議員の人たちは、不明朗な政治資金の支出や寄付金をもらっても記載していない場合でも、「事務的なミス」だとか「記載間違い」だとか言って、何事もなかったかのように偉そうに発言しています。

内閣改造して大臣になった人の資産報告訂正は恒例行事です。

そんな政治家はインボイス制度を決めた人たちですが、一般庶民がこんな細々した作業をしなければならないって絶対にわかっていないでしょうね~(××)

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不動産人/AIサービスと不動産仲介業

先月から立て続けに昔お取引いただいた方から連絡を頂きました。
物件の売却・購入や賃貸のお取引を10度ほどさせていただいたS社長、当方のDMを見てお問い合わせいただいた貸倉庫業のMさん、元特定郵便局の経営者のNさんや、元ゼネコン勤務のOさん等などです。

昔のお客さんに連絡を頂くことは珍しくないけれど、こんなに短い期間にと立て続けにいうと今まで経験したことは無かったですね。

一度お取引させて頂いた方からご連絡いただけるとすごく嬉しいものです。
こういうのも“リピーター”って言うのでしょうかね。

自分がひとの役になっているという感じがやりがいに繋がりますし、仕事の励みにもなります。

不動産仲介業って、嬉しいことばかりじゃなくって嫌な思いをすることも多々ありますから、また声を掛けていただけるって一層嬉しいのだと思います。

最近、チャットGPTのような生成AIの進化が目覚ましく、いわゆる“士業”と言われる税理士・行政書士・司法書士などの仕事を脅かす存在になって来たという話があります。

金融サービスの世界では、生成系AIのパワーと費用対効果を活用して、コストを削減しながら顧客により良いサービスを提供することができるようになってきてます。

金融機関は、会話型ボットを使用して、顧客ごとのニーズにあった商品や顧客からの問い合わせへの回答を生成することで、顧客サービスを向上させるなど進化しています。

遅ればせながら、不動産仲介業の仕事も以前とはずいぶん変わってきています。

ネットの普及で商談や物件調査も机に座ったまま非対面で進めることが出来ることが多くなりました。

最近の投資用不動産ブームで、まるで金融商品かのような紹介の仕方や、スマートな取引手法など、不動産取引の経験の乏しい方には物件売買が簡単なものだと錯覚させる可能性もあります。

それでも今のところ、不動産取引の業界では肝心な時は対面しないと駄目ですが、その内、それもなくなるのでしょうね。

それも便利でいいのかもしれませんが、反面、危険な部分が分かり辛く危ない感じがします。

すべてがゲームみたいですねぇ。

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不動産人/土地国庫帰属法・承認ゼロ?

令和5年4月27日、相続した土地が不要だったり、管理が難しいなどの理由で、国に引き取ってもらう制度、「相続土地国庫帰属法」が創設されました。

これで未登記不動産や所有者不明の物件も少なくなるはずとの期待もあったと思います。

ところが、あれから3ヶ月経った8月16日時点で、承認・不承認となった事例はまだ1件もないということです。

7月末の時点で相談件数は12000件、その内、大阪法務局での相談件数は、200件以上あったそうです。

相談者は大阪に住んでいて、土地が大阪府以外の地方であるケースが多いそうです。

審査中は2件(8月16日時点)だそうですが、審査手数料が土地1筆14000円

尚、申請の取り下げ、不承認などの場合も、納付後の返金はされないとのことです。

承認されると、今度は負担金が必要です。

田舎の土地で筆数が多かったりすれば、結構な金額になったりします。

(下記参照)

法務省:相続土地国庫帰属制度の負担金 (moj.go.jp)

 

その他、その土地に建物が建っていたらダメですし、

共有持ち分の土地は全員がそろって申請しないとダメ

境界がはっきりしてないとダメ

他人に使用されていてもダメ

汚染されていたら除去しないとダメ

銀行などの担保に入っているとダメ

このような要件をクリヤーしないと駄目ですから、結構な手間と費用が必要ですので、結局は多少の安価であってもシンプルに売却した方が楽だと考える人も多いのではないでしょうか。

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不動産人/仲介業者の独り言⑨

若い一時期、携帯に電話がじゃんじゃんかかってくるような生活をするのも、世界を広げるという意味では良いのかもしれません。
が、すっかり大人になっているのに携帯に電話がじゃんじゃんかかってくるというのは、あまり格好良くないものです。と言うよりちょっと馬鹿みたいなのです。
それが仕事の電話である場合は、いまだに木っ葉仕事から解放されていない無能な人、という感じも漂う。

『入れたり出したり』 酒井順子 緒…「かける、かかってくる」より

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最近では、Amazonとかkindleのお陰でわざわざ本屋さんに行かなくても机の前でジッとしてても本を読むことが出来ます。

生活習慣がジワジワ変化しているのです。

かつての不動産屋のイメージって、電話がジャンジャンかかってきて、のべつ幕なしじゃべり幕っているというものでした。

最近はパソコンの前でカチャカチャ、ゴソゴソしている作業が多くなっています。

それでも、一日中じゃべっている業者さんって未だいてはります。

いつ電話しても、来客中とか、「あっ、折り返し増すので…」なんて(^^)

ものすごく忙しいのです。

 

ちびまるこちゃん風に言うと、「わたしゃ、そういうのが苦手だよ~」って感じです。
そんな私でも、30年位前は、電話が次から次にかかってきて、本当に忙しかったですけど。
当時は日本国中が忙しかったし、若かったですよ!
でも、今の方が落ち着いて仕事してるって感じていて、これで満足してますよ。

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不動産人/「中国恒大集団」負債総額48兆円

数年前から中国の不動産市場が凄いことになっていると言われてましたが、大手不動産開発の「中国恒大集団」がついに行き詰まりました。
時期を同じくして、中国で売り上げトップのデベロッパー「碧桂園」も資金繰りに窮しているというニュースが流れています。

それに不動産に資金を投じていた高利回りの“信託商品”の運用会社も利払いを停止するなど金融危機にも波及しかねない状況になっているそうです。おそらく、これから一層中国の不動産市場や金融商品は壊滅的な状況だと言われるのでしょうね。

ネット上ではグローバルに捉えて、あのリーマンショックを超えることが起こっても不思議ではないと危惧する声が上がっていますし、中国の国内景気は相当冷え込むだろうし、日本も中国との貿易も相当落ち込むのでしょう。

ウクライナの戦争も大変ですが、この問題も日本にとっても相当深刻なことになりそうです。

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不動産人/入居審査に落ちる理由

先日、ホリエモンこと堀江貴文さんがツイッターで「森ビルって俺の入居審査、マンスリーマンションですら、いまだに通さないのか。どんだけ笑。」とつぶやき。「たぶん、社長が俺のこと嫌いなだけだと思う。まあそういう会社よ」と続けた。

このように賃貸マンションなどに入居申し込みをして、なぜか入居審査に落ちてしまうことがあります。
個人であれば、年収・雇用形態・過去の滞納歴を家賃保証会社の審査に掛けてOKならば貸主もほとんどの場合は了承します。
でも、稀に家賃保証会社がOKでも貸主がNOという場合もあります。

例えば、借主の勤務先が水商売だったり、怪しい感じだったり、また、外国人が嫌いだったり、窓口の不動産業者からみても入居後のトラブルが起こりそうな言動、態度だと後々のことを考えて契約を避けることだってあるでしょう。
また、最近話題になっている年齢(=高齢者)が借りる部屋が無いっていうのも大きな社会問題です。

誰しも入居審査に落ちた時にはその理由を知りたいものですが、「理由は伝えません」と申込時に不動産業者は伝えているので、普通は入居審査に落ちても理由はわからないままです。

以前のことですが、ある会社が社宅にしようと3部屋の申し込みをしました。
普通は数日あれば回答はあるのですが、1週間経っても何の音沙汰もなく、窓口の大手不動産会社の担当者に連絡しても不在だったり、10日経っても「もう少し待って欲しい」と言われました。

それでも余りに返事が遅いので、結局、その不動産会社の社長の知り合いを介して、真相を尋ねてみました。
すると、貸主が外資ファンドで既に審査には落ちているというじゃないですが、それだったら早く教えてほしいのに。
担当者が言い難かったのか、ボンクラだったのか知りませんが…

そして本当の理由も教えてもらいました。

借りようとしていた会社の社長は、複数の会社を経営しておられていて、そのうちのひとつの会社が女性が接待する飲食業の会社だったので、それが貸主(外資ファンド)の基準に触れてダメなのだそうです。
この審査基準と担当者の能力は如何なものかと怒り心頭でしたね。

賃貸の入居審査も家主次第で理不尽な場合、腑に落ちない場合もあるのだと知っておきましょう!

★賃貸に関するトラブル記事

退去時のトラブル

ホントは深い「賃貸契約」

賃貸の仲介手数料訴訟で敗訴(東急リバブル)

万年床の話(原状回復義務)

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不動産人/「行儀の悪い企業」と告発本

大阪の御堂筋沿いの土地売買の仲介業務のトラブル、契約締結後には高校の同窓だった人間関係を逆手にとって約束を反故にした大企業に対する著者の告発本です。

著者は裁判でも敗訴していますが、かなり気合の入っておりこの本を読んでみると、かなりの恨み辛みがこもっています。

同業者としての感覚からすれば、ここまで詳細に書いているのであれば恐らくこれが真実なのでしょう。

(正直なところは当事者でないので分かりませんが・・・)

不動産業界では同業者を欺いて報酬を得るのは“汚い奴”と言いますが、逆に“商売が上手い”という皮肉な言い方もあります。

不動産業界にもそんなことは関係ないと“金儲け”のことしか考えていない人もいますが、私はひとの気持ちを踏み躙るような仕事はしたくないですね。

売主・買主・仲介業者ともに嫌な思いはしたくありませんから。

それから、この本の中に裁判のことについても書かれていますが、書かれている内容は確かにそうだと思いました。

以前、「仲介手数料の不払い」に対して訴訟を起こした時にも、わたしも「裁判」とか「裁判官」っておかしいと思いました。(下記参照)

どうも法曹界には、部外者には分からない序列とか位みたいなものがあって、我々が期待している「正義」とか「公平」とは別の要素があるようですし。

だから、裁判所の出した「判決」だって、(残念ですが)絶対に正しいとは限りませんよ。

【お金よりも大事なものもある】

近畿日本ツーリストのコロナ事業3億円詐取容疑、ビッグモーターがワザと傷をつけて修理費を上乗せしていた事件など、大企業だから立派なひとばかりでもないし、ちいさな事業者だから駄目だとかいうこともなくって、最後は個人の『矜持』『プライド』でしょうか。

★不動産と裁判に関する記事

初めての裁判(1)・・・「媒介報酬等請求事件」

初めての裁判(2)・・・「裁判官は選べない」

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不動産人/実勢価格の6割まで?「タワマン節税」

大阪市内でもタワーマンションが乱立していて、あっちこっちで「誰が買っているのか?」「うちの親戚にはそういう人はいないなぁ」なんて世間話をしています(^^)
特に突出した富裕層さんが相続・贈与の節税目的に高層マンションの特に上層階の高額物件を購入しているのが、問題だと国税庁が指摘をしている。

昨年4月の最高裁判決は大きなニュースになりました。
判決では、過度な節税は租税回避に相当するとし、父親から相続した3人は裁判に負けてしまいましたね。

いろいろ税制はコロコロ変わるのですが、今回も修正案的な対応になりそうです。

修正案では、2024年1月1日より相続物件の市場価格に対して乖離率1.67未満までは今まで通りで、1.67以上乖離している場合(つまり市場価格より圧倒的に評価額が低い場合)は市場価格の60%までの相続評価額とするようです。

国税庁報道発表資料令和5年6月2日

現状の「タワマン節税」策よりは効果は減少しますが、逆に言えば今まで通りの不動産を利用した節税策はそのままだということであります。

★不動産と税金に関する記事

税金の話…脱税する人・使う政治家

不測の事態が…相続対策に落とし穴

損益通算『土地金利不算入』の話

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不動産人/不動産市場は分水嶺に?

6月に入って、日本の株価がものすごい勢いで上昇し、円安もどうにかしないといけないと思うような状態です。
そんな中、国税がタワマンを利用した相続税対策を封じ込めようという対策を考えているという。
これも結構なインパクトあるように思いますね。

大規模な金融緩和と低金利で投資マネーが不動産市場に雪崩れ込んで、コロナ禍でも不動産価格は下がるどころか、返って上昇していた感じでしたけど、ところが流石に、不動産売買の仕事している我々不動産業者も今年に入ってから物件の動きが悪いと感じるようになりました。

メルマガで「ニッセイ基礎研究所」を読んでいると、今年の1月~3月の日本国内の不動産取引が急減速しているというレポートが目に留まりました。

不動産投資市場動向(2023年第1四半期)~ 不動産売買は急減速。国内市場外で高まるリスクに注視

金利が上がるのはまだ少し時間があるようですが、国内外など多様な要因で日本の不動産市場も曲がり角に差し掛かっているのでしょうか!

★不動産市況に関する記事

入口と出口

返済比率”65%”の話

気になる賃貸市場の悪化

不動産景気の遅効性

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不動産人/「エンジニアリングレポート」ってなに?

今回は一般のユーザー様にはあまり関係のない「不動産用語」のお話です。

不動産業者ってこんなこともやってるんだって知っておくだけでも、知識としては荷物になりませんからね!

日本の不動産バブルが崩壊して、不良債権処理の時代になったのはもう随分と前のことです。

当時、わたしも若かったですね、30代後半でした。

アメリカのファンドがどっと押し寄せて来て、不動産を証券化する手法が大きな顔をして闊歩していました。

大型の不動産取引において、物件内容を詳細に調査することを「デュー・デリジェンス」と呼び、「エンジニアリングレポート」なる調査報告書を作成するのが当たり前になりました。
特に大型の物件であれば、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士等の各分野の専門家が精査するようなこともあるけれど、多くの物件はゼネコンの行う建物診断による「エンジニアリンレポート」で物件調査を行って満足しているケースが普通です。

具体的には、建物の劣化診断、機能診断、耐震性診断、省エネルギー診断などであり、建設会社の技術力を生かした詳細な建物診断行います。

但し、これには費用が掛かるのでむやみに行えるものでもありません。

物件によりますが、50万円とか100万円超の負担を覚悟しなければなりません。

一般的には、買主負担ですが、予め売主が「エンジニアリングレポート」を作成しているケースもあります。

不動産証券化の不動産取引では「デュー・デリジェンス」「エンジニアリングレポート」があれば、「重要事項説明書」より内容が多岐に渡るので重説は不要です。

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