自民党と民主党
かつて民主党が政権をとる前、その政策集に、「不動産の仲介手数料を1社で売主、買主の双方から取る“両手取引”の原則禁止」について記載されて、現実に民主党が政権を取ったわけですから、その後どういう方向に進んでいくのか興味津々であったのですが、別に大きな変化はありませんでした。
確かに、民主党って当時は“生活者目線”をアピールしていて、ダムを止めるとか、日本を観光立国にするとか、子育てを重視するとか、良いこともいっぱい言っていたように思いますが、実行する力はなかったようです・・・
この仲介手数料の話も、どちらかと言えば、大手不動産業者の嫌がるテーマだと思いましたので、切り口としてはすごく面白いと思いましたが、当然それをさせないとする大きな圧力があったのでしょうね。
それどころか、政権が自民党に戻ると、まず大きな企業が儲かって、それから一般庶民の生活が潤いだすなどと言っていたのに、前段の方は達成したのに、未だに一般庶民の賃金が上昇モードにならないとなると黙ってしまいました。
挙句の果てに、「働き方改革」とか言っていますが、巷では年金支給を75歳にする布石だと思われては、アカンのじゃないでしょうかね。
両手と片手(分かれ)
不動産業界では、売主から仲介の依頼を受けた不動産業者が自ら買主を見つけた場合、双方から仲介手数料を受け取りができるケースを“両手”と呼んでいます。
そして、売主側と買主側それぞれに仲介業者がいる場合は、それぞれの業者が依頼を受けた売主と買主から仲介手数料が支払われます。 これを“片手”とか“分かれ”と呼んでいます。 |
◆問題は“利益相反”ではなく、“情報の囲い込み”です。◆
“両手取引の禁止”は、一時的に大手不動産仲介会社の株価を下げました。
そもそも何故上場している会社の株価を下げる要因になるのか?
理由は簡単、大手不動産会社の仲介手数料の大半が“両手”だからです。
善いとか悪いとかじゃなくて、売主側の元付業者になることの多い大手業者、特に金融機関の系列業者は買主を見つけるのにわざわざ他業者に情報を公開しないことが多いというのが常識です。
→※これを情報の囲い込みと言う。
だって、他業者と一線を画すると、収入が“両手”と“片手”では2倍違うんですから…
一般的に中小零細業者は買主側、つまり購入希望者の依頼によって営業活動するケースが多いと思うのですが、中小零細業者にとって“両手禁止”による影響はどう考えるべきなのか。
自分自身のことから言えば、仮に“両手の禁止”を額面通りに受け取ったとしても、さほど影響はなさそうだと思っています。
前原国交大臣(当時)のインタビュー記事(ケンプラッツ)より
「両手取引原則禁止の意図と見直し理由について、『両手取引をしたいということで囲い込む問題が出てくる。そのことによって閉鎖的な市場があるということから、これが生まれたと聞いている。ただ、中小零細の不動産業者から相当なクレームが来た。』」 “両手禁止”についての各種のコラムで“両手”⇔“利益相反”こそが問題の本質だとするものがありますが、これは理屈だけが先行した現場を知らない論評かと思います。 |
実際に両直(←売主・買主の両方から依頼を受けて仲介すること)で成約すれば儲かるのでしょうが、すごく神経を使いますし、すごく忙しいですので、仲介業者としては色な意味で“間違いを起しやすい”状態となります。
立場が違うと、考え方もやり方も違うもんです
(弁護士は訴えられる側と、訴える側の両方から依頼を受けることが出来ますか?)