一般の方からすれば、「更地」とは、建物、構築物、工作物などが建っていない状態の宅地のことですが、不動産業者としては、借地権や地役権などの私法上の権利が付いておらず、購入後に自由に建築できる状態になっているでないと「更地」ではありません。
(尚、抵当権や建築基準法・都市計画法など公法上の制約があっても「更地」です。)
また、地下の埋設物がある場合や、昔の建物が解体されているにも関わらず、抹消登記がなされていない場合など、調査不足や勘違いなども多くて、実際の不動産市場では、完全な「更地」状態の売地は意外と少ないものです。
例えば、地下の埋設物と言っても、建物の基礎や地下室を残して地上物だけを撤去しているケースはよくあるものです。買主がそれでは困るという場合で、売主はその撤去工事を望まない場合は、取引価格で調整せざるを得ませんが、肝心な地下の撤去物の図面や資料が全くなくなっている場合は、撤去するのに幾ら掛かるのか把握できません。
こういう、やってみないと幾ら掛かるのか判らない場合の価格交渉はなかなか大変です。
また稀に、過去の建物が登記上存在していて、解体資料がない場合は専門家に頼んで抹消の手続きをしてもらうことになりますが、手間と費用がかかりますね。
建物滅失登記とは・・・建物を取壊した場合には、1ヵ月以内に建物滅失登記を行わなければなりません。 建物滅失登記とは法務局にある取壊された建物の登記簿を閉鎖する手続きです。 滅失登記には申請義務があり怠った場合10万円以下の過料に処す。という決まりがあります。(不動産登記法159条ノ2) |
なお、私法上の権利が無くても、宅地の所有者が自己所有の建物を建てている場合は「建付地(たてつけち)」と言っています。
それに対して、「更地渡し」とは、現状は建物が建っているが、その建物を撤去して引き渡すことを意味するものです。
その場合の費用負担は、既に売却価格や契約内容に反映されているものですから、契約のときには「建て付け地」であっても、決裁の時には「更地」になっていて売主側の契約の履行が終了していることで、買主は残代金(決裁金)を支払うことになります。