【空き家問題と相続と賃貸の関連について】
昨今、なにかと”空き家”問題がクローズアップされています。
空き家の全国約820万戸(2013年)の内、「賃貸用の住宅」と、「長期にわたって不在の住宅と、取り壊すことになっている住宅」の合計が空き家全体の90%超です。
主たる原因は、①賃借人が見つからない②相続して取得した古い家に相続人が住まないということです。
「新築物件に入居者を取られてしまう」
「古い物件なので、修繕コストが高い」
「相続したけれども遠方なので…」
「相続人自身の高齢化」
「相続自体で揉めている」
「建物を除去すると固定資産税が上がる」(注1)
国としても損壊・倒壊や火災・衛生等の点で近隣に及ぼす悪影響を放置して置けなくなり、特に問題がある空き家に対しては「特定空家等」として、行政が所有者に対して助言又は指導、勧告や命令等を行うことができるようになりました。
(注1)
固定資産税
200㎡以下の「小規模住宅地」は、1/6に軽減
200㎡超の部分は床面積の10倍迄が「一般用住宅地」として1/3に軽減
都市計画税
「小規模住宅地」で1/3、「一般用住宅地」で2/3の軽減措置があります。
※家が建っているだけで、税金が安くすむし、解体費用も要らないし!
【賃貸用空き家の場合】
賃貸用住戸の場合の空き家(445,5万戸)は、共同住宅が約90%です。
傾向とすれば、古年・床面積小規模な物件の方が空き家になっている。
因みに、大阪府の賃貸用空き家数は、全国で2番目に多く、供給数の多さが人口増加に追いついていない感じです。
1東京都 645,000戸
2 大阪府 444,200戸
3 神奈川県 347,300戸
4 愛知県 271,000戸
全国 4,455,600戸
平成25年住宅・土地統計調査 特別集計(確報)
【戸建空き家の場合】
2013年の空き家の内、約半分弱の45,7%が賃貸用共同住宅、持ち家戸建が33.6%、持ち家共同住宅11.8%と続きますが、このうちの持ち家戸建が1998年139万戸→2013年275万戸と5年間で136万戸も増加しています。
戸建住宅の場合、分譲マンションなどと違って所有者自ら管理・修繕を行うのが通常ですので、一旦、空き家の期間が長引くと建物の老朽化はスピードアップしてしまいます。
数量的には大都市圏の方が多いのですが、率的には地方都市の戸建空き家率が高くなっています。
≪空き家阻止の対策≫
空室の発生を抑制し、特に戸建住宅の空き家要因である”相続で取得”(注2)した所有者の負担を軽減する策が講じられています。
■空き家の譲渡所得3000万円特別控除について■
相続日から起算して3年を経過する日の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、その家屋(耐震性のない場合は、耐震工事後)又はその家屋を解体後の土地を売却した場合は、売却益から3000万円と特別に控除できる制度ができました。
◇適用を受ける為の主なハードル◇
★対象となる譲渡期間・・・平成28年4月1日~平成31年12月31日
★建物は昭和56年5月31日以前に建築されたもの
★分譲マンションは対象外
★売却代金1億円以下(分割して売却した場合はその合計金額)
その他、適用要件があります・・・
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☆平成31年4月1日から注意すべき改正点2つ!
一、平成31年12月31日までの適用条件が、平成35年12月31日まで延長される。
一、被相続人が相続開始の直前に老人ホーム等に入所している場合は、入所前に居住していた家屋及びその敷地等は「特例の適用を受けることができるようになります。
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■法定相続情報証明制度■・・・平成29年5月29日スタート
相続が発生すると、自宅やその他不動産の名義変更(所有権移転登記)を行いますが、名義の変更することが諸々の理由により、そのまま放置されている物件も多いとか・・・それが、昨今の空き家問題の一因となっているということで、相続人が登記所に戸籍関係の書類を提出すれば、登記官が認証付の法定相続情報一覧表の写しを交付(手数料無料)、従来の戸籍に代わり、この一覧表で被相続人の預金の払い戻しや、相続登記が便利に出来るという制度ができました。
(注2)
個人住宅が空き家になった契機として、持ち主の取得理由の第1位が相続(56.4%)、第2位が新築して注文・購入(20.5%)と、半数以上が相続であります。
「平成26年空き家実態調査」
【大阪市の場合】・・・市内の空室率
大阪市の空室率(17.2%)は、全国平均(13.5%)と比べて高く、主たる原因としては、新築住宅の供給数が活発で、借家の占める割合が多いところに起因するものと思われます
空き家の内、賃貸住宅が占める割合は・・・
◎大阪府 空室率14.8%→内、賃貸住宅61.7%
◎大阪市 〃 17.2%→内、 〃 67.6%
空き家率の高い区は、西成区(23.8%)、東住吉区(23.8%)、生野区(22.4%)旭区(21.4%)となっていて、古い木造住宅が多いエリアです。
※それぞれ、空き家の内の戸建住宅が占める割合が4分の1前後です。
中央区や浪速区でも、空き家率は17~18%と高いのですが、これは単身者向けマンション(≒投資用マンション)の新規の供給数が多いことが原因と思われますので、賃貸用マンションをお持ちの方は、今後も賃料含めて住居者確保は厳しい局面が続きそうです。
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