不動産ナマ知識/―ややこしいぞ!―瑕疵担保責任

『瑕疵(かし)担保責任』

って聞いたことはあるけども、知らなくてもそれほど問題じゃなさそう…そう思っている方が殆どでしょう!
「確かに、不動産売買のときには“契約書”に書いてあった」けど、終わってしまうと記憶から消えてしまうものです。
但し、問題が起こらなければの話ですが・・・

記憶の底から呼び起こさせる問題とは、≪雨漏り・シロアリの害・建物構造上主要部分の腐食・給排水設備の故障・過去の物件内部での自殺等≫を買主が初めて気づく時であります。
不動産取引については、宅建業法・商法で売主の責任を規定しています。
現在では、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)【注1】・消費者契約法【注2】が加わり、売主の責任内容は複雑になりました。
それぞれの内容は違っています。
頭の中がゴチャゴチャになるので、下記の表は簡便なものとして作成してみました。

「複雑だと言うことはFP試験などには格好のテーマになるかも知れませんが・・・瑕疵という文字も複雑、こちらは漢字検定に出題でも!」

その内容は(1)新築か中古か(2)売主、買主が宅建業者か単なる消費者なのかで違ってきます。
※別に商人・事業者のどちらかかという人もいますが、今回は省きます。

新築の場合

     買主

売主

宅建業者

一般の消費者

宅建業者

「品確法」で10年間は、建物の主要部分等の瑕疵担保責任があります。 ←「品確法」適用 +主要部以外は2年以上の規定、それより短い期間は無効です。
(中古の項目参照)

消費者

↑と同じく「品確法」の適用あり。 「品確法」の適用あり。
消費者が売主の場合は極稀であります。
(物件購入後、居住せずに転売した場合を想定)

中古の場合

     買主

売主

宅建業者

一般の消費者

宅建業者

売主は瑕疵担保責任を負わないという特約等も有効と思われます。特約がない限り商法526条【注3】の適用あり。 最低、物件引渡しから2年以上の期間で売主に責任があります。それより短い期間の特約は無効です。その場合は、瑕疵を知った時から1年以内に権利を行使できます。(例えば、引渡しから10年後でもOK)

一般の消費者

特約は自由ですが、なければ、権利行使は事実を知った時から1年以内です。 ← 同 左

■   瑕疵担保責任について買主は、修繕請求・損害賠償や契約解除などで権利の行使ができます。

 

■競売物件には、瑕疵担保責任はありません!全て買主責任です

 

■   担保責任を負わない旨の特約

売主が担保責任を負わない旨の特約をした場合、民法上は有効である。しかし、その場合でも売主は次のときは免責されない。
(1)売主が知っていながら買主に告げなかった事実
(2)売主が自ら第三者のために設定し、又は譲渡した権利

【注1】品確法は、次の2つのポイントからなります。

(1)新築住宅の契約に関する瑕疵保証制度の充実

新築住宅の取得契約(請負・売買)において、基本構造部分(柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分)について10年間の瑕疵担保責任が義務づけられます。

(2)住宅性能表示制度の創設

【注2】消費者契約法と他の法律との関係

消費者契約法のポイント

A 契約者が事業者と締結した契約が全て対象。

B 消費者は、事業者の故意の不告知などによって結んだ契約を取り  消すことができる。

C 消費者の利益を不当に害する契約(←1部又は全部)を無効とす  る。

消費者契約法の規定と民法や商法の規定が競合する場合には、消費者契約法の規定が優先的に適用されます。
また、宅建業法など個別法の私的規定と消費者契約法の規定とが抵触する場合には、原則として業法など個別法の規定が優先的に適用されます。

※   宅建業法の瑕疵担保責任に係る規定との関係

宅建業法における、宅建業者自ら売主となる売買契約において、目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法の規定により買主に不利となる特約を無効とする規定は、消費者契約法に優先して適用されます。

※   品確法との関係

品確法は、新築住宅の基本構造部分について10年間瑕疵担保責任を負うこととし、これに反する特約は無効としています。
これは消費者契約法の規定よりも厳しい責任を課す規定であり、消費者契約法に優先して適用されることとなります。

【注3】商法 526条

延滞なく検査し瑕疵を発見し通知するか、すぐに発見出来ない場合でも6ヶ月以内を経過すると解約等は出来ない。(民法は事実を知ってから1年以内)

「頭の中のゴチャゴチャは如何でしょうか? 」

「はい、ごちゃごちゃです(^^)」

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