不動産人/お互いの気持ち

今日も雨・・・テクテク歩いて事務所まで辿り着きました。

月曜日に引渡が終わった賃貸マンションの契約書等が、借主さんや保証人の捺印が終わって今日返却されてくる予定です。それを家主さんに郵送してほぼ仕事は終了です。
元々、賃貸系の仕事はしていなかったのですが、20年くらい前からお客さんや知り合いから要請があってやり始めたのですが、主に家主代行みたいな立場です。
売買と違う仕事ですが、賃貸もなかなか面白い部分もあります。

この家主さんは3人姉妹のうちの一人で、2年前に亡くなられたお父さんが生前に娘のためにと賃貸用に分譲マンションを3人それぞれに買ってあげたものです。
お父さんは自分で会社を経営していて、景気のよいときにこつこつ不動産を買っていたそうです。
物件の場所はバラバラで客付けしやすいものもあれば、手こずるものもありますし、家賃もバラバラで、大きさもバラバラです。
娘さんのお住まいも、石川県、千葉県、枚方市とバラバラです。
1棟マンションもありますが、それは法人名義にして、区分のマンションは娘さんそれぞれの名義でと使い分けておられます。
生前に何度もお会いしていますので、お父さんの気性はよく分かっていますし、なんとかお役に立ちたいと思って入居者の募集・退去後のリフォームや借主からの苦情や問い合わせなどに対応しておりますが、もう15年以上経ちました。
そのお父さんを紹介してくれたのも、投資用のマンションをサラリーマン時代に買っていたNさんです。
この方とは、(随分前のことですが)DMを出して電話を頂いたのがキッカケです。
この間、もう80を超えたと電話で言っておられたのですが、声は歳を取らないものだと本当に思いました。

「頼んでやろう」、「やらせてもらう」、こういう仕事は大きい小さいじゃなくて、お互いの気持ちが入ってますのでやりがいがありますね。                                                                        

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不動産ナマ知識/所有者不明の土地

全国で“所有者不明の土地”があるとNHKやマスコミでも取り上げています。
“所有者不明の土地”って、「不動産登記簿等にある所有者と、現在の所有者が直ちに判明しない、判明しても連絡がつかない土地」のことで、その総面積は九州よりも広いという推計による発表もありました。

良く似た言葉に、不在地主”っていうのがありますが、これは「その土地に住んでいない所有者」のことですから、必ずしも何処に居るのか判らないわけではありません。

 

国土交通省の調査では、日本の総面積3780万ヘクタールの約53%が私有地であって、その内の2割(筆単位)“所有者不明の土地”ということですから、すごい広さです。

【寄り道】①

土地の個数は、登記簿上で“筆”(1筆とか)という単位で表します。

空き家の問題と元は同じです。
どうやら、東日本大震災の被災地の復興事業で、土地の所有者の同意を取るにも“所有者不明の土地”の壁にぶつかり、立ち往生したことがこの問題の表面化に繋がったということらしいけれども、それ以前にも、各地の固定資産税徴収の担当ではある程度は予測できていたと思われます。

国(法務省)も研究会なるものを発足させて、法律的解決策を模索するらしいのですが、そもそも、相続や売買で所有権が変わっても不動産の登記は義務ではなくて、権利です
固定資産税を払うためにするのでもなく、市役所が所有者を把握するためでもありません。
不動産登記で“所有権の保存”をするのは、他人に私が所有していることを明かすためであって、申請するのは任意(本人任せ)です。
だから、その後、所有者が引越ししても登記上の住所を変更することは必須ではありません。

だから、50年前に死んだお爺ちゃんが住んでいた場所の土地の名義が、去年亡くなったお父さん(息子)から自分(私)に変わっていなくても、それ自体は罰金もお叱りもありません。
ただ、つい10~20年まで、日本って土地神話があって下がらないと皆が思っていたので、田舎の土地でも殆どの人は財産だと思って相続登記していたのでしょうね。

でも、登記費用も要るし、毎年固定資産税も支払わないとダメだし、これからも田舎にも殆ど帰らないし、そもそも売るにしても誰も買ってくれる人が居ないし、資金を引っ張るだけの資産性もなさそうだし・・・そんな人が日本国中にいっぱい居ることが判って、どうしようとしているのが今の状況です。

土地(財産)の値段が下がると、いろいろな問題が派生するものです。最近では、資産価値の低い“不動産”のことを、“負動産”なんて見掛けることもよくあります。

【寄り道】②

私の実家も親が亡くなってから、20年以上土地の名義を変更していませんでしたが、役所の人が調べて長男宛に固定資産税納付の通知書を送ってきていました。

土地の価格の二極化は、都会と田舎だけではなく、都市部内でも発生しています。
原因は今まで書いてきたものと同じですが、相続税課税強化と少子化によって都市部の実家の引き取り手に困るケースです。

これは個人的な意見ですが、一昔は長男が実家を継いで、親と同居して暮らしたものでしたが、昨今、たとえご近所であっても親は親、子供は子供で別世帯のところが多いようです。
親が亡くなると、大なり小なり揉めます。
ご近所に住んでいても、親の面倒は見ていたとか、いや、俺は長男だとか言い出すと、揉めます。大きく揉めると、不動産の相続ややっと不動産を売却することに合意したとしても、どこの不動産業者に任せるのかで一騒動し、売却した金額の配分でまた揉めて収拾が付かないなんてこともあります・・・そして、相続登記することなく数年経ちますと、相続人も歳をとりますから…

団塊の世代が80歳を超える2030年以降は、毎年の死亡者数が160万人超とかで、大量の相続が発生する見込みです。

【寄り道】③

“所有者不明の土地”でもなく“不在地主”が税金を払わない族が話題になったことがありました。
数年前から外国の(ファンド、とか大企業とかではない)人が、日本の分譲マンションや戸建住宅、山林などの土地を購入することが日常的に行われております。
当初、固定資産税をどこに送ったらいいのかとか、管理費の滞納が何ヶ月もあって困っているという話を耳にしました。
2年ほど前に、税制改革があって「納税管理人」という制度が始まりました。

納税管理人は、日本で申告が必要な収入(所得税)、日本国内に住所がある場合は住民税、日本の不動産を所有している場合の固定資産税を支払う納税事務処理を行います。

固定資産税については、1月1日現在の不動産所有者に課せられますが、仮に大阪市内に自宅や賃貸不動産を所有して出国して非居住者となる場合は、固定資産税の(大阪市内に住所がある)納付管理人を選任する必要があります。手続きは、不動産の所在地(市区町村)に「納税管理人申告書」を提出します。

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不動産人/アパートローン一巡か?

個人向けのアパートローンが急減速しているという。
今年4~6月の新規貸出金額は、前年同期比15%減の7171億円。(日銀)
相続税対策の目的でアパートを建てる波が落ち着いてきたからでしょう。

大阪市内に住んでいると判りにくいけれども、郊外や地方に行くと同じようなアパートや、マンションが建て並んでいる光景に出会うことがあります。
分譲では無さそうな雰囲気は見れば判りますから、賃貸用に建てられた共同住宅です。

地主さんの遊休地利用と相続税対策、老後の資金造りにと考えていて、他方、貸出先の少ない金融機関とテレビCMや地元で有名な建築業者が一緒になって営業した結果でしょう。

日本国中で人口が減少する中、都心以下の収益物件は苦戦を強いられるのは必死です。

数年前に三重県の一棟売マンションの資料をもらった時、全70戸の部屋が空室(大手のブラジル人従業員の解雇があったとのこと)の状態でしたので、買主を見つけるためには、まず入居者をどうしたら確保できるか考えて当たったのですが、上手くいかず断念したことがありました。
その後、その物件が大阪の不動産会社が購入し、別の大手製造業の社宅として入居契約をして成功したと知りました。

不動産業者であれば、なんとか対処のしようもあるのですが、初めてマンション経営する方ではいろいろな対策は人任せになってしまいますので、それは大変です。

郊外や地方に行くと、(大阪市内では考えられないでけど)駅前に不動産屋さんが一軒もないような処がたくさんあります。

それだけ、不動産屋にとってニーズが無いのでしょうね。

収益物件はテナントや入居者が入ってこそ、収入になるって建てるときは実感できないのかも知れません。

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不動産人/「契約の履行に着手」って何ですか?

「契約の履行に着手」っていう言葉が売買契約書には書いてありますが、どいうことなのか?

不動産の契約は“一括決済”と言う“契約と決済を同時に済ませること”もありますが、多くの場合、契約時に手付金のみを支払い、残金を決済日に支払って取引を終了するのが一般的です。

でも契約後、売主または買主から解約を申し出ることもあります。

売買契約書において、手付金は「当事者の一方が契約の履行(※注1)に着手するまでは、買主はその手付金を放棄して、売主はその倍額(※注2)を支払って、契約の解除をすることができる」とする手付け解除の契約内容が一般的です。

※注1…契約が速やかに完了するように実行すること。
※注2…受領済の手付金を返還し、かつそれと同じ金額を支払うということ。

でも、このような解除権が契約後いつでも使えるということでは、相手方が不測の損害を被ることになりますので、その時期について一定の制限が必要だと考えられています。

その“一定の時期“が「当事者の一方が契約の履行に着手するまで…」というものです。

不動産の売買契約において“契約の履行”とは、次の行為を行なうことだと考えられています。

売主の行為 所有権移転登記の手続

分筆登記の手続(一筆の土地の一部の売買)

確定測量図の作成(実測売買契約)

買主の行為 内金(中間金)の支払

 残代金の支払

契約解除に伴い相手方が履行の着手している場合は、手付金の放棄や倍返しだけでなく損害金を支払う必要が出てきますので、当然のことながらよく考える必要があります。

勤務先の倒産、急な転勤、家族の病気なども売主には関係がありませんから白紙解約は難しいので、買主は手付金を放棄しなければなりませんし、反対に、売主の立場で同じようなことがあったら、倍返しの対象になります。

(中間金は返ってきますし、返さなければなりません。)

但し、停止条件付契約として“ローン特約”“買い替え特約”がある場合は違いますよ。

ローン特約を付けて契約をした場合は、予定していたローンの承認が得られなかった場合や、予定していた金額に足りなかった場合は、白紙解約できますので、手付金は帰ってきます。

ただ、いいかげんな遅滞行為や虚偽の申請行為などにより、約定の時期までに承認が得られなかった場合などは、白紙解約できませんので、契約後すぐに金融機関に融資申し込み手続きをする必要があります。

★契約実務に関する記事★

売買取引の習慣、大阪と東京の違い

事業用不動産の売買契約前から決裁までの流れ

個人の低額売買契約について

三為契約(さんためけいやく)

高齢者の不動産取引

ローン特約

「瑕疵担保責任の免責」と「現状有姿」

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