不動産ナマ知識/キャッシュフローが大事です!

“不動産投資”って、要するに「大家さん」になることです。

赤字でいいから「大家さん」になろうとする人はいないでしょう。
仮に不動産投資の目的が、「相続対策」であったとしても毎月の収入より出費の方が続くとなりと手持ち資金がドンドン少なくなって、何をしていることか分かりません。
それだったら、寄付した方が良さそうです。

一棟マンションでも、区分マンションや店舗など収益用不動産の種類はたくさんあるのですが、不動産投資のメリットを謳うセールストークとして、「損益通算」「減価償却」『節税効果』、不動産の「相続税評価が現金よりも低いこと」に加えて、ローンを組んで意識的に「負債」を持つことによる『相続税対策効果』があります。

 

この『節税効果』『相続税対策効果』を享受するためにも、まずはキャッシュフローのことを知っておくべきだと思っています。

キャッシュフローは、現金収入から現金支出を差し引いて手元に残る資金の流れをいいます。
だから、差し当たり“減価償却”や“金利”のことを詳しく計算する必要はありません。
まずは、投資前なら予想収支表、すでに投資後であれば確定申告の内容を見ての状況確認からです。

まず、不動産投資の場合、「減価償却費」は利益が出ていれば差し引くことが出来ますが、ローン返済額の内、元本は経費として扱えませんので、通帳から金融機関に戻っていくだけです。

“返済元本“「節税効果」には寄与していないのです。
「減価償却費」も、最終的に物件を売却する際には購入金額からその分を差し引いて原価とするので、差し当たり”売却益の先取り”という側面を持っています。

「損益通算」もかつては、現在の建物の金利だけではなく借りた金額に対しての金利全部を経費として利益を低減させ、他の所得と「損益通算」出来たことに比べると随分『節税効果』は低くなりました。

国税はいろいろな『節税効果』がブームになると、モグラ叩きのように“節税する穴”を塞いでくるのです。

『相続税対策』で建てたアパートや賃貸マンションに思ったほど入居者が確保できないケースは大変で、キャッシュフローが赤字なんてことがあれば大変なことです。反対に、満室稼動で順調に収入があると、今度は現金が通帳に溜まってしまい、次の『相続税対策』に取り掛かるなんていうこともあるので、嬉しいことですが結果的に税金対策になっていないケースもあります。

キャッシュフローを健全する方法は、まず入居者の確保、ある程度の資金が確保できた段階でローンの一部返済を試みることが考えられます。
個々のケースで違いますが、比較的長期間投資物件を保有しておられる方は、売却する際にはローンがかなり少なくなっているのですが、意識的にローンの一部又は全部の返済をされていることがよくあります。
当たり前ですが、毎月の返済金額が少なくなると、毎月の手元資金が多くなります。
『節税効果』に一定の限界があるのなら、資金回収に勤しんでもイイのじゃないですか?

不動投資の利回り効果はまだ、ほかの金融商品と比べても負けてはいないと思いますが、回収した資金を株式投資や生命保険などに使ってもいいと思いますよ。
特に長期間のローンを組んでいると、(元利均等だと)元本は中々減りません。
ローンで塩着けの時のようなレバレッジ効果は得られませんが、多少税負担が増えても資金の自由度は増しますし、いざという際の売却時の決断にも寄与できるからです。

超低金利も永遠には続きませんから・・・

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不動産ナマ知識/事業用不動産の価格査定

事業用不動産を売却する場合、売主は様々な理由があっての決断があるはずです。
失敗は許されません。

個人の戸建住宅や分譲マンションなら、その多くは比較的近くに取引された事例があるので、だいたいの相場はわかります。
また、パソコンで“土地総合情報システム(国土交通省)” http://www.land.mlit.go.jp/webland/や民間の一括査定サイトなどでも大雑把な相場感を掴むことはできます。

事業用不動産の場合は、小規模とか大規模の物件に関わらず個人住宅よりは査定は多少複雑ですが、不動産の査定方法は「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3種類で変わりはありません。

ここでも主として「取引事例比較法」がメインであることは同じですが、それに他の査定方法を加えて調整を図ります。

さらに、現地の調査をしなければ本当の査定は出来ません。
仮に、机上で5000万円と算出された物件でも、現地へ行くまでの環境やその道中の接道状況、建物や設備の実際の状態などで、プラスマイナスが生じます。

不動産は全く同じ物件は絶対にありません。

また、役所調査も必要ですね。
建物の検査済証を紛失している場合の建築概要書の入手、前面道路の種別(市道・府道・国道・私道など)や幅員、上下水道の引き込み状況の確認などは価格査定の時にやっておかないと、買主に説明が出来ませんから。

また、収益物件の査定には「収益還元法」の考え方も考慮しますが、現在の入居者の入居日・現家賃の確認・滞納の有無・保証金の返還債務の確認などの資料を知った上で売り値を査定しなければなりません。
建物の修繕履歴も、価格査定には大切な資料です。

長年の間、事業用不動産として活用していた物件も、場合によっては解体したほうが売却するのに有利だという物件もあります。
最近では、古いビルやラブホテル、倉庫なども売却後そのまま使うのではなくて、他の用途の建物を計画して古年物件を購入する買主も増えています。

その場合は、「原価法」を利用して、売主に対しては“更地価格-建物解体費用”して売却物件の査定をすることになります。
でも、結果として建付け地の状態よりも、高く売却できることもありますし、実際に建物を解体するのではなく、その想定で売却価格を査定することもできます。

最後に、最も大事なことがあります。
不動産仲介業者にとっては、査定金額はおおむね3ヶ月で買主を見つけることが出来るものだとされていますが、売主が少し高めにして欲しいと言われる場合があります。

売主がそういうお考えならば、なんの問題もありませんので、売る時期の調整や、売主様の真意を仲介業者にお伝えください。
信頼できる仲介業者は、チャンと売主様の意を汲んでサポートしてくれるはずです。

≪寄り道≫

以前、購入いただいた一棟売マンションを10年経ったので、売却するというお話を戴いた時のことです。
売主様のご希望金額を聞いて、「もう少し高く売れますよ・・・」って申し上げたのですが、「いや、金額はこれでイイから、早く売って欲しいので」とのこと。「出来れば、1ヶ月以内に売りたいので」と。(其のわけは判りませんが・・・)
“1ヶ月以内“というのは、なかなか無い経験ですからね。その時はギリギリ1ヶ月で決裁まで完結致しましたが、レアな経験でした。
もの凄く緊張したのを覚えていますね。

反対に、仲介業者の中には、物件を任せてもらう為に査定時点では明らかに高めに査定しておいて、他業者を排除してから、暫く経って金額の変更を申し入れる輩もいます。
『高く売ってくれるンだ!』って喜んでばかりはおられません。
知名度バツグンの大手不動産業者だから絶対に安心だとはいえません。

あまりにも高めの金額で市場に放しておくと、業界用語で「さらしもの」といわれて、売るのに余分な労力を要する場合がありますのでご用心ください。

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不動産ナマ知識/2018年の不動産市況は・・・

皆さんにとって2017年はどんな一年だったでしょうか?

昨年のお正月にはまだ2016年の余韻が残っていて、どことなく気持ちに余裕があったみたいでしたが、今年はいささか緊張意味であります。
安倍首相が復活してからのこの5年間は、アベノミクスによる超低金利で大胆な金融緩和策が取られて、株式市場・不動産市場やリートに政策的な資金が流れ込みました。

株式投資ブームと相続税対策などの節税ブーム、インバウンド効果による商業地の高騰や民泊・ホテル向けの活発な不動産取引と東京オリンピックに向けた建設ラッシュなどで景気は盛り上がったのですが。
潮の流れが変わってきたのは、相続税強化の対策として全国規模で賃貸マンションが建設されて、冷静に考えればそうは上手くはいかないだろうと思えるような事例が社会問題化した頃だったでしょうか。

また、不動産投資もブーム化して、サラリーマンやOLさん向けにセミナーも開催されたりして、投資用マンション購入のハードルはかなり低くなりました。融資も受けやすく、サブリース制度も安心感を与えくれるなど、不動産業界も大きなマーケットを作るのに成功しました。
また、超高収入の属性の高い人向けに「一物件・一法人・一金融機関」なんていう方法を利用して、短期間に何棟もの一棟売収益マンションを購入させる営業手法も目を引きました。
金融が緩んでいたことでそのような不動産取引も可能であったのでしょうが、約20年前のバブル期を超える不動産融資が行われた後、徐々に不動産融資は締められることになりました。

春以降は「誰にでも、幾らでも」という雰囲気はなくなり、今までフルローン(100%融資のこと)が当たり前だったのが、90%、80%と減額され手持ち資金が10%、20%と以前より多めに必要になってきました。
その結果、収益物件の取引の動きは鈍くなり、夏以降は厳選された物件、厳選された一般法人や富裕層中心のマーケットに変化しました。
その反動はきつかったので、一瞬、昔の「総量規制」の頃を思い出してしまいました。
でも、まあよく考えれば、“普通”の状態に戻ったということでした。。

不動産取引と金融は裏表の関係で、金融機関の融資姿勢は凄く大事ですから、今年の不動産市況は2017年後半に引き続いて“緊張感”のあるものになると思っています。
アベノミクスや異次元の金融緩和などは人意的なものですが、日本のベースにあるのは“少子高齢化”で、「空き家」や「空き地」の数は確実に、且つ、少しずつ増えると考える方が普通でしょう。

取り合えず、お持ちの収益マンションや店舗・倉庫など、入居者を確保するのに全力を尽くしましょう。

賃料収入の無い収益物件は、「鼠を捕らない猫」これって死語でしょうか?)みたいなもんです。家主さんの目的を達成することはできません、仮に、その目的が相続税対策であったとしてもです。

実務的には管理業者や不動産仲介業者に依頼されると思いますが、家主さんとしてはパートナーとして信頼できる業者さんを見つけることが大事です。
同じ物件でも、こつこつと動いてくれる業者に掛かると、結果的に早期に良質の入居者が確保できると思います。

物件売却については、購入する側の融資額(≒購入資金)が厳しくなるとすれば、売り値が下がる可能性が高まるので、ここ数年流行っていた、短期に転売してキャピタル(売却益)を狙うとかいう流れは鈍くなると思います。
単にキャピタル(売却益)狙いよりも、インカム(賃料収入)を確実に得たうえで売却することも考えてもいいですね。

一棟売物件も購入者の選別が進めば、ライバルは減りますので、逆に富裕層の方や、安定した職業の方には、銀行の融資絞込みは悪い話じゃありませんので、属性のイイ物件を購入するチャンスです。

 

ちなみに、「戌年」は「犬は忠誠心があるので、食べ物に困らない。犬は嗅覚が鋭いので、道に迷わない。」などから、堅調に進んでいける年だそうです。

是非、そうであって欲しいと願っております。

2018年も何が起こるか判らないけど、何が起こっても頑張りましょうね!

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不動産ナマ知識/投資用中古マンションの減価償却費

個人で不動産投資をする人の多くが、区分所有のマンションを購入しています。
で、賃借人を入居させて不動産所得として来春確定申告することになります。

稀に、販売した不動産業者がサービスで確定申告までするなんていうケースもあるのですが、それは過剰サービスであって内容によっては税理士法違反になるかもしれません。
投資用マンションの確定申告は、自分で計算してもそれほど難しくないと思いますので、是非ご自信で計算して、税務署に足を運んでいただきたいものです。

不動産所得の計算上、収入は賃料そのもので明快ですが、必要経費を算出しなければなりません。
購入した際の内、固定資産税や都市計画税の日割り精算金(建物分)は購入価格に含めます。
また、仲介手数料の内、建物分は購入価格に含めますので、先の税金相当分の金額と一緒に減価償却することが出来ます。

≪寄り道≫

投資用マンション購入時の諸費用のうち、印紙税・登記手数料・火災保険料・ローン保証料や手数料は「必要経費」として収支計算して処理します。
また、通常の室内リフォーム費用や修繕費用も必要経費として処理します。

減価償却は土地には適応されないので、購入金額から建物の金額と先の仲介手数料と固定資産税日割り按分額を足して国の定めた減価償却率で毎年経費として処理することになります。

新築の場合は、鉄筋コンクリート造47年、重量鉄骨造34年、木造22年の法定耐用年数で、以前は定率法も使えたのですが、今は定額法を使わないとダメです。

建物の内、鉄筋とか鉄骨の躯体部分とは別に設備部分として給排水設備や電気・照明設備などがありますので、その金額が分かれば法定耐用年数15年とかで毎年減価償却していきますが、分からないとか面倒だと言う場合、躯体部分と一緒に処理することも可能です。

中古で購入した投資用マンション(一棟売マンションの場合も)は、築後まだ新しい建物だけではなく、法定耐用年数を経過した建物もあるでしょう。

【法定耐用年数の全部を経過した古年マンションの場合】

法定耐用年数×20%=残存耐用年数

【法定耐用年数の一部を経過した古年マンションの場合】

法定耐用年数-経過年数+(経過年数×20%)=残存耐用年数

※経過年数については、月数に置き換えて計算します。

※残存耐用年数に1年未満の端数があるときは切り捨て、残存耐用年数が2年に満たないときは2年として計算します。

鉄筋コンクリート造で築後10年3ヶ月経過したマンションを6000万円(建物部分)で購入した場合の減価償却計算の例

<建物>

RC造は法定耐用年数47年

47年-10年3ヶ月+(10年3ヶ月×20%)

=564月―123月+(123月×20%)

=465.6月=38.8年→38年

減価償却は毎年の簿価(帳簿上の価格)を減少させていきますので、売却する際には思わぬ利益がでる可能性も持ち合わせています。
投資用マンションのセールストークに「実際は支払っていない経費が収入から控除できお得!」なんていうのは、間違いではないけどトータルで考えるとどうだか分かりません。

不動産投資の最終的な損得は、最後(売却・処分)に分かるものですから。

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不動産ナマ知識/知ってますか敷地権のないマンション

敷地権と古年マンション

区分所有の分譲マンションを売却する仲介させていただいた時のことです。
売主様はこのマンションを収益物件として長年所有されていて、賃借人にも恵まれていて、とってもお気入りの物件だったのですが、お金の要ることがあって売却することになったわけです。
マンションの《権利証》〈…権利書に同じ〉「敷地権」設定により、土地+建物で1つになっているのが普通ですが、このマンションの《権利証》は、土地と建物が別々になっていました。
分譲マンションは昭和58年の区分所有法「建物の区分所有等に関する法律」改正により、建物とその敷地を一体として利用し、分離して売却したりできないことになりました。
(但し,「敷地権」は強制ではありません。)
これを「敷地権」として、土地と建物の権利関係が一体化することになり、今では分譲マンションは登記簿においては建物の登記簿表題部で「敷地権」について記載され、土地登記簿への記載は省略されています。

同じく《権利証》も同様に土地・建物でひとつになっています。
それでは先日のケースは、どういうことなのか…。

確かに対象物件は昭和58年より以前の建物で、新築当時「敷地権」の設定は出来なかったのですが、前述の法改正以降は法務局の職権で対象物件について順次「敷地権」の登記を行なったと聞いていますが、それもなされていないし…
理由はこうでした…

建物:■Aさん 6分の5     ■Aさんの妻  分の1   という共有持分

土地:■Aさん 17332079■Aさんの妻 3462079 という共有持分

このように土地・建物の所有権内容、今回のケースではその割合が同じでないので、土地と建物を一体化する「敷地権」に出来なかったということです。
法改正以前に土地建物それぞれの所有者や、共有割合、抵当権設定内容が違うと「敷地権」設定がなされていないことが稀にあるようです。
また、ごく稀に建物だけ売却したりした人も居たそうで、もしそんな物件にめぐり合って、土地と建物の所有者が全く異なっていたりすると大変な問題です。
古年の分譲マンションを購入する時には、事前に注意する必要があります。

【チェックポイント】

■   古年の分譲マンションを売買しようとする人は、敷地権設定の確認並びに内容を登記簿謄本で行なう。

■   権利証の保管している場所を思い出し、実際に権利証を確認する。

■   「敷地権」設定のない物件を所有している人は、《権利証》が土地・建物別々ですのでそれぞれの権利証を確認する。

■   「敷地権」設定のない物件を購入する人は、購入に際し土地・建物を一体化(敷地権設定)させるため司法書士サンに支払うための費用負担が発生しますが、それほど大きな費用ではありません。

【寄り道】

「権利証」は不動産取引の主役で、決済時には必ず必要なものです。
「権利証」を探したけれども、出て来ない・・』って人がいました。
よく話してみるとタンスの中から出て来たのですが、その理由は?「権利証」「登記済証」のことで、法務局で登記完了時に「登記済」の印を押してある書類のことです。

そんなに頻繁に出して見るものでもありませんし、普通は司法書士事務所の分厚い紙袋の入っていて、その表に「登記済権利証書」とか、「不動産登記済証書」とか書いてあり、「権利証」とは書かれていないからです。

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不動産ナマ知識/―ややこしいぞ!―瑕疵担保責任

『瑕疵(かし)担保責任』

って聞いたことはあるけども、知らなくてもそれほど問題じゃなさそう…そう思っている方が殆どでしょう!
「確かに、不動産売買のときには“契約書”に書いてあった」けど、終わってしまうと記憶から消えてしまうものです。
但し、問題が起こらなければの話ですが・・・

記憶の底から呼び起こさせる問題とは、≪雨漏り・シロアリの害・建物構造上主要部分の腐食・給排水設備の故障・過去の物件内部での自殺等≫を買主が初めて気づく時であります。
不動産取引については、宅建業法・商法で売主の責任を規定しています。
現在では、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)【注1】・消費者契約法【注2】が加わり、売主の責任内容は複雑になりました。
それぞれの内容は違っています。
頭の中がゴチャゴチャになるので、下記の表は簡便なものとして作成してみました。

「複雑だと言うことはFP試験などには格好のテーマになるかも知れませんが・・・瑕疵という文字も複雑、こちらは漢字検定に出題でも!」

その内容は(1)新築か中古か(2)売主、買主が宅建業者か単なる消費者なのかで違ってきます。
※別に商人・事業者のどちらかかという人もいますが、今回は省きます。

新築の場合

     買主

売主

宅建業者

一般の消費者

宅建業者

「品確法」で10年間は、建物の主要部分等の瑕疵担保責任があります。 ←「品確法」適用 +主要部以外は2年以上の規定、それより短い期間は無効です。
(中古の項目参照)

消費者

↑と同じく「品確法」の適用あり。 「品確法」の適用あり。
消費者が売主の場合は極稀であります。
(物件購入後、居住せずに転売した場合を想定)

中古の場合

     買主

売主

宅建業者

一般の消費者

宅建業者

売主は瑕疵担保責任を負わないという特約等も有効と思われます。特約がない限り商法526条【注3】の適用あり。 最低、物件引渡しから2年以上の期間で売主に責任があります。それより短い期間の特約は無効です。その場合は、瑕疵を知った時から1年以内に権利を行使できます。(例えば、引渡しから10年後でもOK)

一般の消費者

特約は自由ですが、なければ、権利行使は事実を知った時から1年以内です。 ← 同 左

■   瑕疵担保責任について買主は、修繕請求・損害賠償や契約解除などで権利の行使ができます。

 

■競売物件には、瑕疵担保責任はありません!全て買主責任です

 

■   担保責任を負わない旨の特約

売主が担保責任を負わない旨の特約をした場合、民法上は有効である。しかし、その場合でも売主は次のときは免責されない。
(1)売主が知っていながら買主に告げなかった事実
(2)売主が自ら第三者のために設定し、又は譲渡した権利

【注1】品確法は、次の2つのポイントからなります。

(1)新築住宅の契約に関する瑕疵保証制度の充実

新築住宅の取得契約(請負・売買)において、基本構造部分(柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分)について10年間の瑕疵担保責任が義務づけられます。

(2)住宅性能表示制度の創設

【注2】消費者契約法と他の法律との関係

消費者契約法のポイント

A 契約者が事業者と締結した契約が全て対象。

B 消費者は、事業者の故意の不告知などによって結んだ契約を取り  消すことができる。

C 消費者の利益を不当に害する契約(←1部又は全部)を無効とす  る。

消費者契約法の規定と民法や商法の規定が競合する場合には、消費者契約法の規定が優先的に適用されます。
また、宅建業法など個別法の私的規定と消費者契約法の規定とが抵触する場合には、原則として業法など個別法の規定が優先的に適用されます。

※   宅建業法の瑕疵担保責任に係る規定との関係

宅建業法における、宅建業者自ら売主となる売買契約において、目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法の規定により買主に不利となる特約を無効とする規定は、消費者契約法に優先して適用されます。

※   品確法との関係

品確法は、新築住宅の基本構造部分について10年間瑕疵担保責任を負うこととし、これに反する特約は無効としています。
これは消費者契約法の規定よりも厳しい責任を課す規定であり、消費者契約法に優先して適用されることとなります。

【注3】商法 526条

延滞なく検査し瑕疵を発見し通知するか、すぐに発見出来ない場合でも6ヶ月以内を経過すると解約等は出来ない。(民法は事実を知ってから1年以内)

「頭の中のゴチャゴチャは如何でしょうか? 」

「はい、ごちゃごちゃです(^^)」

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不動産ナマ知識/法人融資の裏技

「1物件1法人1金融機関」というスキーム知っていますか?
そのスキームで、数年でナン十億円もの収益マンションなどを購入した人が居るとか。

勿論、その指南役は不動産業者が適任かもしれませんが、これは金融機関の内情とか、融資の仕組みを熟知した人が考えたスキームで、不動産業者だけでは難しいでしょうね。
まあ、それを謳い文句にして堂々と営業している不動産業者もいますので、いわゆる犯罪とは言い切れないのかもしれませんが。
金融機関から見て属性の高い人、お医者さんとか、年収数千万円とかの外資系サラリーマンがターゲットにされています。

まず、法人Aを新設して、一棟売り収益マンションAを購入するわけですが、金融機関Aに融資を申し込みます。
それとは別に、法人Bを新設して、別の一棟売り収益マンションBを購入するために、金融機関Bに融資を申し込みます。
同じやり方で、C,D、E・・・と続けます。

基本的に資金はすべて金融機関のフルローン(全額融資)を前提にしないと、いかに属性が高いといっても、手元資金を入れてしまうと、現金は減り続けますから・・・

フルローンは今年に入ってからは、金融機関の融資姿勢が以前より厳しくなっているので、難しくなっています。
それで、荒っぽい指南役であれば、二重契約なんて手を使ってフルローンに填め込むこともありそうです。例)二重契約とは・・・取引価格1億円の(真の)売買契約書とは別に、1億2千万円の(偽の)売買契約書を作って金融機関に提出をして2千万円の現金を売主に渡したように見せ掛けて、1億円の融資を引っ張る策を仕掛ける。

新設する法人は決算書とか未だありませんから、金融機関は属性の高い人の年収や社会的ステータスを前提に融資をすることになります。
属性の良い購入者は融資を受ける法人の連帯保証人になりますが、各金融機関は他の金融機関の融資については知らされてないので、全体の融資金額については把握していないことになります。
(本当に各金融機関が知らないのかどうかは、グレーだと思いますが・・・)

複数の連帯保証人になっただけでは、信用保証会社のデータには載りませんから。

とは言っても、収益マンションは入居者の確保や日常の管理業務は必要ですから、不動産業者等の地道な仕事は他人任することになります。
でも、指南役や元々コンサルをしていた業者さんが、どこかに行ってしまったりすると、空室は増え始めて、建物の管理も疎かになり、物件の資産性は低下し始めます。

元々不動産投資より投資話自体に興味のあった買主さんは、実務で頼りにするところが無くなって右往左往することになってしまい、新聞などでは、自己破産や銀行取引停止など辛い目にあっておられるケースもあるとか。

不動産投資ブームに乗じて、エライコト考える人も居ますので、気~つけて下さい!

≪あなたが関心を持ちそうなページ≫

投資用不動産の「節税効果」って嘘ですか?

投資用マンションの「起承転結」

管理会社の仕事内容とは

不動産投資に失敗しそうだったら・・・

金融機関の融資基準

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不動産ナマ知識/分散投資

一般論として、手持ちの財産を預金(現金)・株・不動産に分けることを資産運用の基本としてきました。
資産を三種類に分散投資することにより、相互に「流動性(換金性)」「安全性」「収益性」を補完することが出来るからです。

個別の資産についても、その中で分散投資することも推奨されています。

預金については、万が一、金融機関が破綻した場合に、利息のつく普通預金、定期預金などについては、ひとつの金融機関につき預金者1人当たり「元本1,000万円までと破綻日までの利息等」が保護されるので、複数の金融機関に分けて預ける方法が。

株式についても、複数の銘柄に分けて投資したり、投資する時間を分けてみたりして危険性を分散する方法などがあります。

でも、不動産投資って金額も大きいし、そうやたらと買い捲るようなものでもないので、分散投資ってできるものでしょうか。

サラリーマン家主さんなら、まず1物件でしょう。
それで、一応の経験をしてからもう一件でしょう。
最初の1件目でつまずいてしまうと、後が続かないかもしれませんが・・・普通は分譲マンションの1戸を購入して、賃貸業者さんに依頼して賃借人を確保してスタートしますが、既に賃借人付の物件だと最初の経験が出来なくなります。

その後、毎月の賃料が振り込まれる、最近は賃借人が家賃保証会社に加入している場合が多いので、仮に賃借人自体が賃料の不払いがあっても、家賃保証会社が立替払いしてくれて、不払い賃料の取立てをしてくれますから、毎月ちゃんと収入があるはずです。
水道光熱費も分譲マンションですから、一棟マンションを違って賃借人が電気代・水道代・ガス代など個別契約して支払っていますので、サラリーマン家主さんは気にする必要がありません。

建物全体の維持管理はマンションの管理組合が選んだ管理会社がやってくれますので、管理費と修繕積立金を支払っていればまずは問題ありません。
たぶん、最初に心配になるのは賃借人が退去して、次の入居者がいつ決まるかでしょう。
それと、退去後のリフォームがどの位の費用が掛かるのかです。

賃借人が入居中の問題は細かなものが多いのですが、例えば、設備機器等(クーラーが効かないとか、レンジフードの音が異常に大きいとか、お風呂の水が冷たいとか、ベランダに鳩が住み着いて子供を生んでいる…)に関するものが多いのですが、これはマンション全体の管理会社の守備範囲外ですので、区分所有者が自らの判断で対処しなくてはなりません。

その細かな問題に対処してくれるパートナーが必要です。

入居者を見つけてくれた賃貸業者さんに声を掛けやすいとは思いますが、テレビでコマーシャルを流しているような大手の賃貸業者さんはこういう細かな問題に対しては弱いと思います。

私どものような個人営業の不動産業者とか、その町で昔から営業している不動産屋さんの方が費用的にも安いし、親身になって動いてくれますので役に立つはずです。

こういう一連の経験を経て、2件目の不動産投資に目を向けることになります。

 

≪怖い話≫

以前、あるお医者さんが投資用マンション5件(全部ワンルーム)を短期間に同じ販売業者から提携ローンで買いました。
管理から賃貸募集、確定申告の準備(←赤字を作る為に経費の上乗せをしていた)まですべてをそこの営業マンに任せていました。

所有者は大阪まで新幹線で1時間以上かかる所にお住まいで、5つの物件はすべて新大阪駅周辺にありましたが、入居者の入っている物件など見ることもなかったそうです。

それから数年後、まず入居者の確保が疎かになり、管理が怠慢になり、そのうちその営業マンが会社を辞めてしまい、物件についてはほったらかしに
その会社に問い合わせてみると、「その営業マンが個人的にしていたことなので、よく分からないし」って言われた上に、いままでの賃借人は別の人に又貸ししていて上乗せしていた差額の賃料を、その営業マンが毎月ポケットに入れていたということが分かったとのこと。

 

理屈の上では、分譲マンションだけではなくて、区分所有でも一棟物件であっても店舗や事務所で分散投資して不動産運用したいものですが、こういう事業用の物件は先に書いたような管理方法では無理ですので、すぐには止めておいたほうが良いでしょう。

ワンルームばかりでなく、ファミリータイプの物件を購入するのも、不動産投資の分散投資としては良さそうです。
サラリーマン家主さんとすれば、まず事業として税務署が認めてくれる規模である“5棟10室”目指して経験を積みませんか。
ただ、≪怖い話≫にあるように、いくらローンが組めても短期間で同じ販売会社・同じエリアから買うのは危険性があります。

購入時期や物件の築年数の分散を図ると、クーラーやお風呂・洗面所・キッチンなどの水周りの修繕時期がズレルので、出費の時期がズレルというメリットがあります。

大阪市内でも、投資用マンションはいろんなエリアにありますので、物件の立地は多少は分散しておいた方が良いように思います。
全く土地勘のないエリアに不動産投資するのは、よっぽど慎重にしないといろんな“危険”がいっぱいですから。

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不動産ナマ知識/三為契約(さんためけいやく)

収益物件の価格自体が高いものになってしまったせいで、不動産業者による収益物件の転売もし難くなっております。
今迄から不動産価格が右方上がりの時には、不動産業者が一旦取得した物件(土地でも収益物件でも)を再販して商売をするのが常であります。

ここ2~3年は金融が緩んでいたのにも係らず、銀行は大口の融資先が見当たらないこと、低金利による不動産投資ブームと相続税対策ブームが重なって、収益物件の取得に拍車が掛かり一機に収益不動産の価格が上がってしまって、収益物件の利回りは低下してしまいました。
金融機関の方も売主よりエンドユーザーに1件ずつはめ込むより、転売する不動産業者に何棟かロットで収益物件を買い取ってもらい、その不動産業者から新たな買主に売り渡した方が楽です。

不動産業者が買い取ることにより、瑕疵担保責任を負うことになるし、リフォーム工事や空室の募集なども行い”商品化”しますので、次の買主にとっても悪いことばかりではありません。
転売用の収益物件を保有する不動産業者にとっても、日銭が入ってくるのでジックリと買主を待つことも可能です。
不動産業者は日常的に売り物件を目にしているので、購入できるとすれば即着手する体制が出来上がっていますが、そもそも不動産業者による買取転売市場は昔から存在しているものです。

「三為契約」(さんためけいやく)は、そのスキームをもっと大胆に実行する方法です。

「三為業者」とは、不動産の買取と転売をする業者のなかでも、特に「第三者にためにする契約」を行う不動産業者のことです。
売主A→三為業者B→買主Cの流れの中で、Aから所有権を移転させるのにBは登記費用を負担することのない「中間省略登記」という方法で、買主Cに物件を売却します。
「中間省略登記」については、一時禁止されましたが、第三者Cの為にAとBが「買主たる地位の譲渡契約」を結べば、合法的に「中間省略登記」はできます。

問題なのは、金融機関がそのスキームに便乗して、三為業者Bの手助けと真の買主Cへ融資を同時に行う立場を利用しているところにあります。
真の買主Cへの融資を行うことを前提に、金融機関はBに対するアドバイスと利幅確保を行います。

三為業者Bはノンリスクで売主Aから物件購入と(Bからすると出口に当たる→)買主Cへの転売を同時に行うことが出来るので、殆どの場合はA→B→Cの契約を同日中に行うことが出来ます。

一般の転売とは違って、買主Cは高値で取得するリスクを負うことになります。

不動産の業界人は、この買主さんは購入する物件から遠い地方にお住まいの方が多いということを知っています。
殆ど物件を見ることもなく、机上の知識と情報で購入するスキームに嵌っているからでしょうか。

このスキームで面白いように儲かった不動産業者(←儲かればなんでもやる”不動産業者みたいな人”)も多かったと聞いています。
まあ、すでに不動産業界から抜けていった人もいるみたいですけど・・・

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不動産ナマ知識/訂正印・捨印

今朝など、まるで冬そのものの寒さでした。
今年は秋の虫の鳴いている声を聞いていません。
風情ってなくなりましたし、テレビのワイドショーでもやたら切れる人の話題が多くなっているような気がしますが、日本国中でなにかしらの不満が溜まっているんでしょうね。

不動産の世界でも何か言ったら、コンプライアンスとか言って、業者さんも自分で自分の首絞めているような感じがしています。
だから、契約書とか申込書とかもすごく神経質な扱いになってます。

最近の不動産取引では(昔は当たり前だった)“手書きの契約書”を見かけることは殆んどなくなっています。
今は、ワードやエクセルで作成して、プリンターから打ち出し、チェックして、一応作成できればメールで相手方の業者さんに送って内容確認してもらった上で最終的に完成させることが多いですね。

で、不動産取引の場面で、誤字や脱字とか“訂正印”で修正したり、当日に新たな合意内容を書き加えたりすることは滅多になく、ましてや予め“捨印=訂正することを前提にあらかじめ契約書などの欄外に押しておく訂正印のこと)を押すなんてことは殆どなくなりました。
だから、社会人になった時にパソコンがあるのが当たり前の20~30代の不動産業者さんですと、“訂正印“をもらって「4文字削除、5文字追加」記入なんていうことを経験したことがある人は滅多にいないでしょう。
ネットで検索してみても、“捨印“は絶対に押すべきものでないとする意見で占められていますが、”捨印“の目的は少々の書き間違いなどで、その都度連絡を取って訂正の確認を取りに行くのが面倒だなどという理由で、その手間を省く便利な慣習ですが、訂正の範囲や限度は決められていないので、理屈上は”捨印“は「白紙委任」と同じです。

それでは“捨印”で契約金額や購入希望額、契約名儀人の変更が可能かについては、意見も判例も1つではない。
契約者の意見と異なる内容に変更されても、契約書等を2部作って各1部ずつ所持することや、1部しか作成しなくてもコピーを持っておくことで、一応の保全はできると思います。
でも、“捨印”の効果が広義に解釈されれば、もう内容を無茶苦茶に修正されたとしてももう後戻りはできません。
最近のように何かあると法律が出てくるギスギスした世の中では、どんな書類にでも“捨印”は押さないほうが賢明です。

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