不動産ナマ知識/知ってますか敷地権のないマンション

敷地権と古年マンション

区分所有の分譲マンションを売却する仲介させていただいた時のことです。
売主様はこのマンションを収益物件として長年所有されていて、賃借人にも恵まれていて、とってもお気入りの物件だったのですが、お金の要ることがあって売却することになったわけです。
マンションの《権利証》〈…権利書に同じ〉「敷地権」設定により、土地+建物で1つになっているのが普通ですが、このマンションの《権利証》は、土地と建物が別々になっていました。
分譲マンションは昭和58年の区分所有法「建物の区分所有等に関する法律」改正により、建物とその敷地を一体として利用し、分離して売却したりできないことになりました。
(但し,「敷地権」は強制ではありません。)
これを「敷地権」として、土地と建物の権利関係が一体化することになり、今では分譲マンションは登記簿においては建物の登記簿表題部で「敷地権」について記載され、土地登記簿への記載は省略されています。

同じく《権利証》も同様に土地・建物でひとつになっています。
それでは先日のケースは、どういうことなのか…。

確かに対象物件は昭和58年より以前の建物で、新築当時「敷地権」の設定は出来なかったのですが、前述の法改正以降は法務局の職権で対象物件について順次「敷地権」の登記を行なったと聞いていますが、それもなされていないし…
理由はこうでした…

建物:■Aさん 6分の5     ■Aさんの妻  分の1   という共有持分

土地:■Aさん 17332079■Aさんの妻 3462079 という共有持分

このように土地・建物の所有権内容、今回のケースではその割合が同じでないので、土地と建物を一体化する「敷地権」に出来なかったということです。
法改正以前に土地建物それぞれの所有者や、共有割合、抵当権設定内容が違うと「敷地権」設定がなされていないことが稀にあるようです。
また、ごく稀に建物だけ売却したりした人も居たそうで、もしそんな物件にめぐり合って、土地と建物の所有者が全く異なっていたりすると大変な問題です。
古年の分譲マンションを購入する時には、事前に注意する必要があります。

【チェックポイント】

■   古年の分譲マンションを売買しようとする人は、敷地権設定の確認並びに内容を登記簿謄本で行なう。

■   権利証の保管している場所を思い出し、実際に権利証を確認する。

■   「敷地権」設定のない物件を所有している人は、《権利証》が土地・建物別々ですのでそれぞれの権利証を確認する。

■   「敷地権」設定のない物件を購入する人は、購入に際し土地・建物を一体化(敷地権設定)させるため司法書士サンに支払うための費用負担が発生しますが、それほど大きな費用ではありません。

【寄り道】

「権利証」は不動産取引の主役で、決済時には必ず必要なものです。
「権利証」を探したけれども、出て来ない・・』って人がいました。
よく話してみるとタンスの中から出て来たのですが、その理由は?「権利証」「登記済証」のことで、法務局で登記完了時に「登記済」の印を押してある書類のことです。

そんなに頻繁に出して見るものでもありませんし、普通は司法書士事務所の分厚い紙袋の入っていて、その表に「登記済権利証書」とか、「不動産登記済証書」とか書いてあり、「権利証」とは書かれていないからです。

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