昨年6月に積水ハウスが購入しようとした土地の売主が、実は詐欺師だったということでその損失55億円、当時の会長を社長のバトルにまで発展して大騒ぎになった事件でした。
先日、やっと犯人8人が逮捕されましたが、主犯格は海外に出て行ってしまっていて未だ捕まっていません。改めて新聞記事などを読むと、不動産取引の怖さを感じてしまいます。
そもそも、売主Aが本当の売主かどうかは、本人が「私が売主Aです。」と言ってもそれだけでは嘘をついていても分かりません。
積水ハウスの事件は、本人という人がパスポートを偽造したりして、所有者に成りすましていたから55億円も支払ってしまったのです。
売主確認として通常はまず、不動産登記簿に記載してある所有者の名前を確認します。
でも、不動産登記簿に所有者の登記をすることは、「義務」ではなく「任意」ですから、登記簿上の所有者が真の所有者だと決め付けることは出来ません。
登記簿上の所有者と真の所有者が違っているケースで、一番多いのは相続した不動産を相続人全員の足並みが揃わずに故人の氏名のままになっている場合とか、相続人全員の合意がなされていても取得した長男が登記しないでそのままにしている場合でしょう。
それが後々所有者不明の土地問題を引き起こすことに繋がっています。
通常の不動産取引では、所有権移転の手続きをしてくれる司法書士さんが売主本人で間違いないかを写真付の身分証明書やパスポート等で確認をしてくれますので、買主さんや仲介業者も殆ど安心仕切っております。
登記簿上の所有者と違う売主が所有権移転できる為の書類(権利証や登記識別情報、登記簿上の所有者の実印・・・)などを所持している場合は、真の所有者(=売主)と見なされます。
五反田の地面師事件で、積水ハウスの他に物件情報を持ち込まれた買主(不動産業者)は偽造された書類を見破っていたということですから、積水ハウスがかなり前のめりになって購入しようとして手抜かりがあったということですので、我々も慎重には慎重を重ねていかないと駄目だということです。
不動産ナマ知識/教訓:積水ハウス55億円損失
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