不動産ナマ知識/仲介手数料の話

仲介手数料は売主・買主・貸主・借主の皆さんにとって気になるものですが、不動産仲介業者の“生活の糧”そのものでもありとっても重要なものです。

ある方の紹介で、収益ビルを買いたいという買主様に「私は(仲介)手数料はお支払いしませんので、そのつもりで良い物件を紹介して下さい!」って言われた経験があります。
「それでは私共(仲介業者)は何処から報酬をいただけるのですか?」とお聞きしましたが、 お答えは「売主から貰えばいいじゃないか…」と。
「えっ?・・・・」(唖然、言葉もでない・・・)世の中に買主は自分しかいないと思っておっしゃってるのか? つくづくすごい人が居るもんだと思いました。

【  賃貸契約の場合】

宅建業法によると『家賃の1ヶ月以内』相当額(注1)がその報酬と決められているのですが、現実には名目はいろいろありますが、それ以上に実質的手数料が発生しているケースが多いのです。
大企業の所有する大型ビルや入居者がどうしても入りたいような人気エリアの物件は、宅建業法の規定に沿って仲介手数料が支払われていることが多いと思われますが、それは競争力のある物件だから許される事で、小規模の物件や通常の賃貸マンションは、宅建業法通りの報酬では仲介業者の協力が得られ難く空室状態が長引くことが考えられるので、正規の仲介手数料とは別の費用を発生させてでも早期の客付けを不動産業者に依頼しているのが実情です。

不動産業界としては、現行の“賃貸手数料”の持つ課題はとても大きいと思います。

注1  『家賃の1ヶ月以内』相当額

不動産業者でも勘違いしている場合が多いのですが、この『家賃の1ヶ月』相当額は「貸主」と「借主」からの支払い額の合計だということです。
その意味で「借主からの手数料が半額」とか「…手数料はいただきません」とか言うキャチフレーズは別に驚くに値しませんが、「貸主さまも手数料は半額」とか「…いただきません」でなければ手数料の合計が『家賃の1ヶ月以内』相当額にはなりません。

ただし、貸主の依頼により行なう広告費・(遠隔地の物件等の)調査費用・宿泊費・交通費などについては別に請求できることも確かですので、全てが問題だとは言い切れませんが。

【 売買契約の場合】

売買の場合は賃貸と比べて分かりやすいと思います。

物件価格200万円以下 物件価格の5%
  〃 200万円超~400万円以下  〃   4%
  〃 400万円超  〃   3%

※仲介手数料は消費税の対象になります。

この計算式から算出された金額を売主・買主双方から支払われることになります。

よく、“3%+6万円”の“6万円”って何だと聞かれますが、200万円の5%=10万円、~400万円の4%=8万円の合計18万円と、1~400万円の3%=12万円の差額6万円の金額です。
ただ、この金額は手数料の上限とされているので売主・買主は不動産業者に対して手数料を値交渉することができます。
冒頭の強烈な買主様のような人は殆どいらっしゃらないと思いけれど,不動産業者も手数料を支払って頂けない買主様には良質の物件情報は提供しないでしょうから、少なくとも常識の範囲で手数料を払う姿勢はお持ち頂きたいものです。
仲介手数料についてはいろんなエピソードや苦労話がありますが,ここは「同じ物件情報を複数の仲介業者から得た場合」と「支払時期」について取上げることにします。
同じ物件が別々の不動産業者から提供されることはよくあることですが、不動産取引に不馴れな方が対応を間違うと大きなトラブルになります。
プロでしたら、基本的に先着順に話しを進めていくことで、どうも商談がまとまらないとか、仲介業者の対応に納得ができない場合など、明らかに話が暗礁に乗り上げたことが明白であれば後順位の仲介業者に依頼し直すこともあります。
この場合では、先の仲介業者にハッキリ断りを入れておくことが大事です。
買主さんがプロじゃない場合、後で同じ物件情報を持って来た仲介業者の話しに乗ってしまうとか、同時並行して話しを進める人なんかも稀にいらっしゃいます。
後々商談が成立して蓋を開けてみると、先に情報を持ってきた業者が“抜かれた”ことになり、その業者から正規の仲介手数料を請求されることもあります。
そんな場合は自分自信で蒔いた種ですが,気分は悪いでしょうし、もめることになりますので、不動産情報は筋の通った方法で、順序立てて商談をすすめて下さい。

事業用の取引で仲介手数料支払が取引終了時(=決裁時)に行なわれることが多いのですが、よく契約時50%、決裁時50%と分けて仲介手数料を受け取る不動産業者もおりますが,それはその不動産業者の決めたルールであって特に法的に決まったものではありません。

ただ、仲介手数料の請求権は契約時点で発生しますので、別に決裁まで待たなくても問題はありません。
ただ、不動産取引は決済・引渡しまで完了して成就できるものですから、不動産業者としては決裁・引渡しが終わってから仲介手数料を頂くのが正解だと思います。
以前のことですが,台湾の法人さんにビル用地を購入してもらった時に、法務局で登記簿謄本が出来て所有者として名前が確認出来るまで、暫く仲介手数料の受領を保留したこともありました。
その時は、外国の方特有の慎重さだと納得して同意したのですが、そんなケースはイレギュラー中のイレギュラーで普通はそんなのはありえませんので、皆さんは決裁時には支払を済ませて下さい。

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不動産ナマ知識/サラリーマン家主さんの話

サラリーマン家主さんの話

不動産投資を一般のサラリーマン向けに営業している不動産販売会社も多いのですが、そもそもマンション投資とかマンション経営はいわゆる副業なのでしょうか?
10月13日の朝日新聞で見たのですが、“兼業が禁止されている裁判官のマンション経営はどこまで認められるのか“という記事がありました。
読んでみると、相続で取得した土地建物を、金融機関から1億3千万円ローンで、鉄骨3階建ての賃貸マンションに建替えて、12室を管理会社に貸して年間1100万円程の賃料収入を得たという内容でした。

裁判官は、許可を得れば兼業することが出来るそうで、これまでは転勤した場合に自宅を貸したり、2件目の自宅を購入して前の自宅を賃貸に出したりするケースは許可されていたそうです。
今回の場合は、“利益目的”だとして不許可となり、当事者の裁判官が不服を申し立てて、最終判断がもうすぐ示される予定だとか。
そもそも、兼業が禁止されているのに、ある程度のものは許可されるという“ある程度”というのが明文化されていから、「あいつはOKで、なぜ俺はNOなのか?」ということになるのでしょうね。

裁判官という法の番人でも、個人的な問題になるといかにも人間臭い問題提起をするものだと思いました。
裁判官は特別職として、一般の国家公務員とは違うのだそうですが、一般の場合は、所謂、税務署の決めている『5棟10室』基準(注)といわれる事業として見なされる程度になるとダメだそうです。

 

 (注)不動産貸付けが事業として行われているかどうかの判定 
(国税庁HPより)
 不動産などの貸付けによる所得は、不動産所得になります。  不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、 所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。  不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているか どうかによって、実質的に判断します。  ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

この“おおむね“という表現は、1棟でも大きな店舗とか、5室しか無くても賃料収入が年間に1000万円もあるとかだとアウトだという意味です。また、駐車場も2~3台だとOKですが、100台もあると立派な不動産事業と認定されます。不動産事業かどうか微妙な場合は、税務署が判断して決めますが、不服があれば反論することも出来ますが、そういう場合は認めてもらえないことが多いのでしょうね!

一般のサラリーマンの場合は、最近では副業を大いに認めている会社も多いようですし、投資用マンションで賃貸収入を得ている人の多くは、5棟10室未満だと思いますので確定申告さえしておけば何の問題もないと思います。

まあ、不動産投資にはまって9戸までいくとあと1戸で10室ですから、行っちゃいますよね^^)
それでも、まだ気持ちが不動産投資に向いていると1棟マンションとかアパート経営とかにも進んで行く方もおられます。

そうなると、2~3戸所有しているのとは違って、何かと用事が増えてきてとても忙しくなります。

戸数が増えると、やっぱり、不動産事業の一端を経験することになりますし、今度は出口戦力(物件を手放す時期)が気になり始めますし、相続なんてのも気になり始めますので、いよいよ家主さんの悩みが分かるような段階に突入することになります.

10年ほど前のことですが、某超大手電機メーカーのサラリーマンの方が10戸以上の中古の分譲マンションを買って、賃貸で入居者を入れて運用しておられました。
さすが、一流企業の人は物件を購入するのも上手に買いますし、ローンをつけるのも上手いと感心しておりました.
でも、入居者募集は地元の賃貸業者に任せるのですが、入居者の申込書が入ると返事をしないといけませんし、入退居がある度にリフォーム発注、現地確認、それに分譲マンションの場合は管理組合の役員が定期的に廻って来たりしますので、忙しい会社で仕事をこなしながら賃貸業者やリフォーム会社、管理会社や管理組合との遣り取りをスムーズにこなすのは難しいものです。
不動産管理の仕事では、瞬時の判断や早急に対処する場合いが多々あります。
結局、会社の仕事と、不動産事業の各業者への連絡等々どちらかが疎かになる。
趣味の不動産投資が副業ではなくなってしまう規模になると、本業になります.

元々、まるごと投資用マンションの事業主が全部やってくれる場合は、差し引かれた金額が通帳で振り込まれるだけですから、本来の事業ではありませんので、こういう問題は起きませんが、この場合はいつまで経っても本業になりません.。

【参考】「不動産投資家」に「宅建免許」は要るのか?

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不動産ナマ知識/ミスは何故起ったのか!

タカタ・日産・東洋ゴム・そして神戸製鋼と大企業の不祥事が絶えません。なにかが緩んでいるのか、世の中の流れがそうさせているのか、よく判りません。

不祥事も大きなミスも根元は同じところから発しているのではないでしょうか。
そういえばこの前、某証券会社の営業マンが飛び込みでいらっしゃったのですが、すごく軽い感じで一方的にセールスしてくるので、この人「まだまだやなぁ」って思ってしまいました。最近、この手の時代遅れっていうのか、独りよがりのセールスってお目に掛かることが少なくなっていますから、ちょっと驚きました。

“不動産業界でもバブル崩壊後30年近くが経ち、バブル期に未成年だった人でも、今では第一線でバリバリ活躍するようになっています。
あの頃は不動産取引も活発でしたから、ごく普通の営業マンでも取引件数をこなしており、いろいろな取引上の手続やチェックポイントが自然と体験できて、自分のものになるというメリットがありました。
でも最近では取引件数自体も昔よりは少なくなり、ネット上で集客するような営業形態もはびこっていて人との信頼関係も希薄です。
また、権利関係の複雑な物件や大企業のリストラ物件などは入札方式が大流行ですので、仲介業者が買主・売主の間に入って話を纏めてみたり、慎重に物件調査しなければならない案件を自ら経験出来ないままに、バリバリと活躍することにもなってしまうことも多いのかもしれません。
そこで今回は、自分自身の経験を取上げて“ミス”はどういうふうに起り、また防げるのかを考えてみたいと思います。 (当時の関係者の都合もありますので、細部についてはボカシをかけておきました。)

何年も前のことですが、超有名企業のJ社がリストラ対策としての遊休地の処分、大手信託銀行のT社を窓口として買い客を探しておりました。
以前から順調な業績を続けていた社員20名程のS社が倉庫用地として購入を希望し、S社から受け取った『買付証明書』(注1)を提示し、多少のやりとりはありましたがJ社との商談は合意に達しました。
当然、契約前の『売渡承諾書』の提出を求めたのですが、T社担当者は「『売渡承諾書』なんて必要ありませんよ、うちも保証しますし、あのJ社が売るって言っているのですから…」と大手の信用力に押されてそれは諦めて、すぐに“重要事項説明書”や“契約書”の内容を文書化しようと言うことになりました。

それから数日後の夜、私にT社担当者から「どうしても今夜、すぐに会いたい…」旨の電話がありました。
 私ちょうどお風呂に入っていたのですが、「明日じゃダメですか?」と言っても聞いてくれないので、急いで自転車に跨って北浜まで行った次第です。
すると、T社担当者は今回の取引をJ社の都合で断りたいと言うじゃありませんか!
話を聞いてみると売主のJ社担当者(といっても総務部長さん)は、この間まで営業の第一線で活躍していた方で、この間総務部長に配属されて間もないとのことでした。今回の遊休地は30年前に取得したもので、その後土地区画整理事業の後、未利用地となり、減歩により従前の面積より減少したままの状態で、A社としても特別気になる土地でもなかったようです。(注2)
そんな土地をJ社の総務部長さんは自分1人で売却による処理を進めたのでした。
たぶん、このくらいの物件処理なら一人でできるって思ったんでしょうね。
そして、A社部長は従前の面積が書かれた古い登記簿謄本を見つけ、自ら資料を作成してT社担当者へ渡していたのでした。
私は、自分で直近の謄本を取得して実面積は確認済みでしたが、売主側は「坪100万円」とする表現で話を進めていたので総額(=面積×坪単価)が会話の中に出てこなかったのです。
私も坪数間違えるなんてことが、あの超大手J社と信託銀行T社に限って絶対ないと言う暗黙の了解がありましたし、こちらが『売渡承諾書』を希望した時も「うちみたいな大会社がそんなもん必要ない」って偉そうにしてましたから…
ですから、J社部長はT社からの契約書(案)を見たときに飛び上がって驚いたと言うことです。
いくつかのミス、J社総務部長の事務処理能力や実務経験・信託銀行T社担当者のチェックミス・思い込み…過信が重なって起こったケースですが、こうなった以上実情を知ることが出来ない買主は、買うに買えない状況になってしまいました。※売主・信託銀行の方から、買主には売主の都合が変わったので売れなくなったと言って欲しいと懇願されましたので、買主様には悪かったのですが嘘も方便と黙っておいたのです。売主J社は、その部長以外売却できなかった理由も解からないまま、その部長が退職するまでその土地を持ち続けたそうです。
被害者の買主はその後、全く別の物件を購入し、社業は相変わらず順調であります。
買い手側の仲介業者(私ですが…)は、1円の儲けも無く、心の処理をするのに大変時間がかかりました…。

何も知識・経験だけが総てではないけれども、宅建試験に合格しているからといって、不動産のプロになったわけでもありません。勿論、試験には合格しておかないといけませんが… 不動産自体は同じ物が2つとないので、それこそ1件1件がオリジナルの取引となります。
買う人・売る人も十人十色、いや百人百色とすると、不動産屋というのはそれ相当の時間と経験をかけてようやく一人前になれる職業だと思うのです。

ミスはなぜ起こったのか?
大きな会社だって人間一人ひとりの集合体ですから、間違いは起こります。
ましてや、不動産仲介の仕事は会社がするのではなく、大きな会社に勤めていても、担当者個人の能力・経験・判断がすごく重要な仕事だと思いますが、ご理解戴けますでしょうか。

(注1)『買付証明書』と『売渡証明書』
※下記HP「不動産マメ知識コーナー」ご参照下さい
2002.4  売買契約前の重要書類について
(注2)土地区画整理事業

公共施設の整備、宅地の利用増進などを図るために、事業区域内の土地所有者から少しずつ土地を出しあってもらって、事業区内を整然とした区画にする。 そのため、土地所有者の仮換地される面積は従前のものより減少するのが通常であります。これを減歩と呼びます。 単に面積が減るだけなら損失としか考えられないが、整然とした区画の土地の利用価値は従前のものより高まると考えられるので、実際には損失には当らないと考えられる。 また、是正策として精算金などの制度もあり一方的な不利益は避けることができる。

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不動産ナマ知識/所有者不明の土地

全国で“所有者不明の土地”があるとNHKやマスコミでも取り上げています。
“所有者不明の土地”って、「不動産登記簿等にある所有者と、現在の所有者が直ちに判明しない、判明しても連絡がつかない土地」のことで、その総面積は九州よりも広いという推計による発表もありました。

良く似た言葉に、不在地主”っていうのがありますが、これは「その土地に住んでいない所有者」のことですから、必ずしも何処に居るのか判らないわけではありません。

 

国土交通省の調査では、日本の総面積3780万ヘクタールの約53%が私有地であって、その内の2割(筆単位)“所有者不明の土地”ということですから、すごい広さです。

【寄り道】①

土地の個数は、登記簿上で“筆”(1筆とか)という単位で表します。

空き家の問題と元は同じです。
どうやら、東日本大震災の被災地の復興事業で、土地の所有者の同意を取るにも“所有者不明の土地”の壁にぶつかり、立ち往生したことがこの問題の表面化に繋がったということらしいけれども、それ以前にも、各地の固定資産税徴収の担当ではある程度は予測できていたと思われます。

国(法務省)も研究会なるものを発足させて、法律的解決策を模索するらしいのですが、そもそも、相続や売買で所有権が変わっても不動産の登記は義務ではなくて、権利です
固定資産税を払うためにするのでもなく、市役所が所有者を把握するためでもありません。
不動産登記で“所有権の保存”をするのは、他人に私が所有していることを明かすためであって、申請するのは任意(本人任せ)です。
だから、その後、所有者が引越ししても登記上の住所を変更することは必須ではありません。

だから、50年前に死んだお爺ちゃんが住んでいた場所の土地の名義が、去年亡くなったお父さん(息子)から自分(私)に変わっていなくても、それ自体は罰金もお叱りもありません。
ただ、つい10~20年まで、日本って土地神話があって下がらないと皆が思っていたので、田舎の土地でも殆どの人は財産だと思って相続登記していたのでしょうね。

でも、登記費用も要るし、毎年固定資産税も支払わないとダメだし、これからも田舎にも殆ど帰らないし、そもそも売るにしても誰も買ってくれる人が居ないし、資金を引っ張るだけの資産性もなさそうだし・・・そんな人が日本国中にいっぱい居ることが判って、どうしようとしているのが今の状況です。

土地(財産)の値段が下がると、いろいろな問題が派生するものです。最近では、資産価値の低い“不動産”のことを、“負動産”なんて見掛けることもよくあります。

【寄り道】②

私の実家も親が亡くなってから、20年以上土地の名義を変更していませんでしたが、役所の人が調べて長男宛に固定資産税納付の通知書を送ってきていました。

土地の価格の二極化は、都会と田舎だけではなく、都市部内でも発生しています。
原因は今まで書いてきたものと同じですが、相続税課税強化と少子化によって都市部の実家の引き取り手に困るケースです。

これは個人的な意見ですが、一昔は長男が実家を継いで、親と同居して暮らしたものでしたが、昨今、たとえご近所であっても親は親、子供は子供で別世帯のところが多いようです。
親が亡くなると、大なり小なり揉めます。
ご近所に住んでいても、親の面倒は見ていたとか、いや、俺は長男だとか言い出すと、揉めます。大きく揉めると、不動産の相続ややっと不動産を売却することに合意したとしても、どこの不動産業者に任せるのかで一騒動し、売却した金額の配分でまた揉めて収拾が付かないなんてこともあります・・・そして、相続登記することなく数年経ちますと、相続人も歳をとりますから…

団塊の世代が80歳を超える2030年以降は、毎年の死亡者数が160万人超とかで、大量の相続が発生する見込みです。

【寄り道】③

“所有者不明の土地”でもなく“不在地主”が税金を払わない族が話題になったことがありました。
数年前から外国の(ファンド、とか大企業とかではない)人が、日本の分譲マンションや戸建住宅、山林などの土地を購入することが日常的に行われております。
当初、固定資産税をどこに送ったらいいのかとか、管理費の滞納が何ヶ月もあって困っているという話を耳にしました。
2年ほど前に、税制改革があって「納税管理人」という制度が始まりました。

納税管理人は、日本で申告が必要な収入(所得税)、日本国内に住所がある場合は住民税、日本の不動産を所有している場合の固定資産税を支払う納税事務処理を行います。

固定資産税については、1月1日現在の不動産所有者に課せられますが、仮に大阪市内に自宅や賃貸不動産を所有して出国して非居住者となる場合は、固定資産税の(大阪市内に住所がある)納付管理人を選任する必要があります。手続きは、不動産の所在地(市区町村)に「納税管理人申告書」を提出します。

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不動産ナマ知識/宅地建物取引士

「宅建主任者」から「宅建取引士」へ

「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」に名称変更するなどの宅建業法改正が、国会で可決され後の2015年の4月1日から施行となりました。 一見すると、わざわざ「…主任者」から「…士」に変更するだけなのに大袈裟なことをと思いますが、実はなかなか大変な手間と年月が掛かっております。 法案等によりますと・・・暴力団に関係した人は、そうでなくなった日から5年間経過すること、暴力団関係者がその事業活動を支配する場合はダメ。

「宅地建物取引士」を含めた宅建従事者の倫理規定・コンプライアンス意識と、重事項説明の内容が年々増加するなど、取引に関する法律や関連制度が多様化するため宅地建物取引士の責任は益々重くなっています。

確かに、かつての重事項説明書は一棟売マンションでも、A3用紙一枚だけなんてのも見たことがありますが、今では考えられないことです。

その為、専門的知識の習得などに更なる研修制度が実施されています。 我々当事者としては、これらが有料化されたり、新たな団体に加入したりするのを恐れている次第です。なぜなら、今まで新しい制度や法律の整備がなされると、それが新たな天下り先に繋がる口実なんてことだったら由々しき問題だと思うからです。 「宅地建物取引士」は、その不動産会社の営業関係者の「5人に1人必要」というのが絶対数必要ですが、以前からくすぶっていた「3人に1人必要」にしようというのは、当分の間はなさそうだというのです。理由は、十分な教育を受けた「宅地建物取引士」がいて、その他の従業員もボトムアップするからその必要はないということらしいが・・・正直いって、その意味はよくわかりませんなぁ~

いわゆる“士業”といえば、弁護士、不動産鑑定士、司法書士など「士」と呼ばれる専門性の高い国家資格の俗称ですが、最近では、マンション管理士やファイナンシャルプランニング技能士などの新参ものもありますが、「宅地建物取引士」も専門性の高い国家資格だと言うのであれば、不動産の営業に関わる人は全員その資格を持つことが望ましいのじゃないでしょうか。

「宅地建物取引士の記名押印」

売買や賃貸借の契約をする時には、その契約前に宅建業法第35条に定める重要事項の説明、重要事項説明書への記名押印及び同第37条に定める書面(契約書等)への記名押印は、「宅地建物取引士」が行う必要がありますが、不動産業者でも意外と勘違いしていることがあります。 まず、宅建業者が売主の場合や複数の仲介業者が存在している取引の場合も、すべての宅建業者が宅地建物取引士の記名押印をしなければならないということ。

宅地建物取引業法  第37条1項(書面の交付)

(注)1項は「売買又は交換」2項は「宅地又は建物の貸借」でほぼ同じような内容です。

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
■取引の当事者の氏名(法人にあつては、その名称)・住所

■物件の住所・所在、地番・種類、構造

■取引金額やその支払の時期及び方法

■引渡しの時期・移転登記の申請の時期

■契約の解除に関する定めがあるときは、その内容

■損害賠償額や違約金の内容 ■天災その他不可抗力による損害の負担と内容

■当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任

■公租公課の負担と内容・・・・・・等が主たる事項です。

 

それに、宅建業法第37条では、いちいち細かくは書いていませんが、売主が業者の場合、仲介業者が記名押印しているから売主自らの記名押印を不要だとはしていません。 また、仲介業者が複数の場合、根付業者が代表して記名押印すれば、その他の中間業者は仲介手数料を受け取るために領収書さえ持ってくればイイというものではありません。

昔ほどではありませんが、今でも意外といいラフな場合も多いようですが。

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不動産ナマ知識/金融機関の融資基準

【今の不動産融資姿勢】

正直なところ、弱いながらも“逆風”が吹いている感じですよ。

国の年金資金の運用や、低金利の金融機関も貸付先に苦労していますから、株式運用や不動産融資に特化してお金をつぎ込んでいる訳でしょう。だから昨年・一昨年あたりは、不動産融資も緩々(ゆるゆる)だったのかも知れません。だから今は少し調整局面なのかも知れませんが、これからもズ~っと不動産融資だけが順調だなんて嘘でも言えません。
昨年の不動産融資額がバブル期を超えたなんてニュースを目にしたのはつい此間でしたが、個人的な皮膚感覚では1~2割位融資が厳しくなっているという感覚です。

それでも、できるだけ手持資金を使わずに収益物件を手に入れようと考えている人が多い状況は、今のところ変わりっていないようです。

購入を検討できる収益物件の数も減っていることも確かです。

不動産融資というものを、購入者側と金融機関側の双方から見た3つの要素【担保評価】【与信】【融資基準】について考えてみます。

【担保評価】

金融機関に融資申し込みをするときの第一関門が、担保評価です。

「物件の価値」には、その金融機関独自の掛け目があって、融資限度額になります。

担保評価はどこの金融機関でも同じではありませんし、融資担当者や支店によっても異なりますから、よく「自分は此の位の金額なら借入れ可能だから・・・」って思っていても、最近の傾向では買主様ご本人の希望する融資金額は1~2割くらい不足する感じです。

人には厳しく、他人には甘いのが世の常でございます。

【与信】

融資対象の不動産評価とは別に、融資申込者(法人や個人)の信用評価を与信といいます。

法人であれば、決算内容やキャッシュフロー、個人であれば収入・支出を、そして買い主様が現に保有している資産の内容が与信に影響します。

購入しようとしている不動産の利回りがそれ程でなかったとしても、節税効果や本業の収入に余裕があれば融資は楽です。 その反対の場合は、融資額はご本人が思っているほどでないこともありますが、これはあくまでその金融機関が判断することですから、意に反する場合であっても仕方ありませんよ。

ここだけの話ですが、この融資申込者の与信は、かなり伸縮自由であってA氏は満額融資を受けれたのに、B氏は80%の融資しか承認されなかったりする理由が判り難いから厄介です。 そうそう、金利も金融機関のみならず融資申込者によっても、「へぇー!」って言うほど違う場合もあります。

【融資基準】

不動産投資のリスクとして、金融機関の融資基準そのものの変化があります。〔変更といった方が正しいかも知れません。〕

“リスク”って危険とか、マイナスとかじゃなくって、資産運用で言うところの“リスク”は、結果のバラツキ具合を意味します。つまり、マイナスの場合はもちろん、プラスになった場合も同じく「リスク」というのです。

不動産融資に対して厳しい目で審査する金融機関でも、景気が上向くなりその兆しが見られるとなると基準を変化させます。

従来、不動産担保評価の基準として利用されていた「固定資産税評価額」「路線価なども、一時、「収益還元」(≒収益性)に取って代られた時期もありました。 最近では建物の「検査済証」の有無で融資の可否を決定したり、「建築年数」を盾に融資の期間を決めることが多いようです。 融資が厳しい時期には、結果として購入できる人や法人が少なくなります。

信用金庫や信用組合など中小金融機関には不動産融資に意欲的なところも沢山ありますが、物件探しだけでなく、金融機関の融資姿勢も研究しておくことが大事です。

 

この前、某信用金庫の方と話をしておりました。そのときの話しでは、今の融資基準としては、「鉄筋コンクリート造の場合、新築で57年」の融資期間が可能、「鉄骨造の新築物件なら44年間」だそうです。

つまり、平成9年新築の築後20年経っているRC造の収益マンションがあるとすれば、融資期間を“57-20=37“→37年間で計算してくれるということです。

仮に融資を受ける金利が3%だとすると、1億円かりて月額返済約373,000円となりますので、そのマンションの表面利回り8%(年収800万円)とすれば・・・

収支では、年収800万円-(月返済額37万3千円×12月=447万6千円)=352万4千円です。

ここから固定資産税や管理費・補修費などを控除して、最終的な収益が決定します。

でも、税金はまだ払ってないことをお忘れなく!

 

巷では、築年数の新しい収益物件が人気です。先の要件である、融資期間が長くて、いわゆる遵法性(←建築基準法などに違反していないということ)を満たしているので、金融機関も融資対象に成りやすいからです。

それに大阪でも、築年数の新しい物件の利回りは5~6%位と少し前に比べて低くなっているので、低い金利で融資を受けることの出来る買主様や、手持ち資金を物件価格の2~3割投入できる買主様ででないと収支が合いません。

一般的な尺度でいうところの富裕層・資産家の方が、資産運用のひとつとして不動産融資をしてみるって感じでしょうか。

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不動産ナマ知識/生産緑地地区について考えてみよう!

【生産緑地2022年問題】

都市計画上、市街化区域内の農地は“宅地”並みに固定資産税を課して、宅地化を促進していくことになっているけれども、「生産緑地」(注1)の指定を受けた所有者は、納税の負担を少なくすることができます。

ただ、全国80%の生産緑地の所有者が30年の営農義務が期限を迎える2022年に、生産力からの変更をする土地が大量に出てくるのではないかと言われている。

(注1)生産緑地

1992年の改正生緑地法によって指定を受けた土地は、固定資産税は農地として、相続税については納税猶予が受けられる「生産緑地地区」(大半が大都市圏:注2)ができました。

条件:面積500㎡以上の良好に耕作されている農地

地主は農業を30年間続けることが義務付けされる

建築等の新築や宅地造成等の土地の形質の変更は原則としてできない

 

(注2)単位:ヘクタール

地 域 市街化区域農地 生産緑地地区
(全 国) 15,793 14,182
東京都 1,055 3,521
大阪府 1,278 2,210
埼玉県 2,964 1,808
神奈川県 1,480 1,478

各数値は平成22年現在のものです。

農業それ自体を、大都市で行っていき続ける人は少ないと思いますが、生産緑地の地主さんの多くは、既にアパート経営や貸し駐車場などの不動産賃貸経営をしていることも多いのではないでしょうか。

500㎡以上というと、150坪超ですから、都会では大きな財産です。

この際、売却して換金しようと考えている方もいらっしゃるでしょうから、仮に、大阪府下の2210haの1割の生産緑地が売却物件として市場に出ると、66万78525坪の宅地が生まれることになります。(1ヘクタール=3025坪)

30坪の土地なら22,284戸分の建売住宅ができます。

300坪のコンビニなら、2万2261戸の店が生まれます

そうそう、なにも売却するばかりではなく、土地の有効利用として、300坪のコンビニなら、2万2261戸の店が出来ますし、「貸家建て付け地」や「アパートローン」を借りることで、相続税対策として賃貸マンションをお考えならば、建売住宅の何倍もの戸数の住居が大阪市府下に建つでしょう。

日本の空き家総住宅数は,6063万戸と5年前に比べて5.3%の上昇し、空き家率は,13.5%と過去最高になりました。(平成25年度総務省調査)

勿論、大都市圏よりは地方の方が人口減少・高齢化が進んでいるので空き家率は高めではありますが、大都市圏でも中心分や人気のエリア以外は、入居者の確保はかなり厳しいものがあります。

2022年まで、まだ5年あるなんて言わないで、ボチボチ考えてみませんか!
ご先祖さまの残した土地について、総合的な判断で、良き対処をご協議ください。

【国の対策も…】

9月6日の日経新聞によると、農水省と国交省が「生産緑地」問題について、そろそろ法案の整備に取り掛かっているようです。まず、「生産緑地」の賃借をNPOや企業向けに認める制度を整え、その場合は、相続税の猶予を与えるとあります。また、賃借する場合の農業委員会の承認の代わりに、市区町村の承認でOKとするようなことも考えているとの記事を見掛けました。

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不動産ナマ知識/教訓:積水ハウス55億円損失

【中間省略登記】

大手不動産会社積水ハウスが、東京の五反田のマンション用地購入に伴う取引で、「地面師」による詐欺にあい、55億5000万円を特別損失計上するというニュースを見ました。
ネットで8月初めに見たときは、あんな大企業であり、購入代金70億円もする土地取引であるにも関わらず、大きなミスをするんだなぁと思ったのですが、反対に騙したほうの悪い奴は本当にいっていうか、すごいです。

ネット上で知る限り、所有者から4月に購入した不動産会社Bが「中間省略」登記で、積水ハウスに転売するというスキームだったらしい。

「中間省略」とは、所有者→B→積水ハウスで所有者はBが転売することを承諾するので、登記簿にはBは現れてこなけれども、積水ハウスは物件を購入できるという手続きです。

【参考】三為契約(さんためけいやく)

【本人確認】

今回の場合は、所有者を名乗る70代の女性の本人確認できる為の「パスポート」が偽者だったということらしい。

本人確認は、昔よりうるさくなっていて、運転免許証や住民基本台帳カードやパスポートなどの写真付きのものは1つで、健康保険証や年金手帳など写真付でないものは2つ以上が必要です。

通常の不動産取引は、不動産仲介業者が本人と交渉し面識もありますが、例えば相続があった後、共有名義などで親と子供の2名なっていたりすると、その一方が遠方に住んでいたりして仲介業者の人も面識がない場合は多々あります。

その場合、仲介業者も本人に直接対面し、売却などの意志があるかなどを充分に確認していないケースとなる場合もあります。

※勿論、いつも共有名義の売主の方が、同じ思いの人ばかりではありません。その最たるものが”相続”により所有権の分散です。当事者同士の話し合いで売却そのものに賛成反対もありましょうし、売却する合意があっても、金額に対する考え方、当事者の配分方法、売却する仕事を任せる仲介業者の選定など、なかなかやっかいな問題が山積であります。

私も以前に買主側の仲介をした時にこんなことがありました。売主がお父さんと長男の共有名義である一棟売マンションの取引で、売主側の仲介業者さんが本人確認していますということで決裁に臨んだのですが、(長男の委任状はあったのですが、)司法書士さんが『ご長男が同席していなので電話をして確認します』ということになりました。ところが、ご長男は長野県の雪深い山中のホテルのコックをしている方で、ちょうど取引の時間が電話に出るのも難しい時間帯に重なってしまって、何時間も待ってから決裁したことがありました。

売主側の仲介業者の方は、それでも「大丈夫です、お父さんが了解しているから・・・早くしてください」って言っておりましたから、『何言ってるんや!アホちゃうか』って心の中で思っておりました。

他人間の取引でも最初から巧妙に売主を装い、不動産業者もグルでの「地面師」を巻き込んでの詐欺まで存在するというケースがあります。それが今回の詐欺事件だったようです。

今回のケース、積水ハウスの社長さん達は報酬の減額するそうですが、直接の担当者の方、その上司、司法書士、関係書類をチェックしていた弁護士、また間接的ではありますが、資金調達に関係していた金融機関の方達に及ぶまで、(私ごときが言うことでも御座いませんが、)誠に心中察するに余りあります。

気をつけなくてはなりません。

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不動産ナマ知識/一棟売マンションを購入した時の不動産取得税・固定資産税

【不動産取得税】

一棟売マンションを購入した場合、不動産取得税・固定資産税の扱いが一般住宅とは違った部分があります。

事業用物件は事業収支の差にもつながりますので、是非注意が必要です。

不動産取得税は、土地や建物を購入したときに掛かる地方税です。
売主A→買主B→買主Cのような買主Bが中間省略登記を行って買主Cが所有権移転登記をしても、買主Bも不動産取得税を免れることは出来ません。、

※売買以外にも交換・贈与・寄付なども課税対象ですが、相続による取得には、不動産取得税は掛かりません。
また、建物の大規模な増改築なども対象となり、半年位すると各都道府県から勝手(笑)に納税通知書が送られてきます。

不動産取得税=固定資産税評価額×4%(注A

(注A)平成30年3月31日までに取得する土地または住宅は3%

※店舗や事務所は4%のままで計算します。

また、その土地については、固定資産税評価額の1/2が課税標準額になります。

新築住宅の場合、固定資産税評価額から1200万円/戸を減額される特別控除が受けられるので、通常の場合、アパートや賃貸マンションの場合は、税金が発生し難くなっています。

新築家屋の不動産取得税=(課税標準額ー1200万円)×3%

10戸あっても20戸あっても、戸の公簿面積40㎡以上240㎡以下であればOKです。
但し、新築控除は取得後60日以内に申告することになっていますので、そのことも知らないとダメです。

※ワンルームタイプの1Kや1DKの賃貸マンションを建築する場合、床面積の基準が満たされない場合が多いと思いますので、そこのところも知っておかないといけません。

※一般住宅は床面積50㎡以上240㎡以下と、少し数値が違います。

※認定長期優良住宅には、控除額が1300万円に増額されています。

長期優良住宅の認定を受けるための基準としては、劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画の項目があり、それをクリヤーした住宅であることが必要でコストが掛かります。

新築の一棟売マンションを購入する場合、それぞれの基準を満たしている場合、不動産取得税が要らないかというと、必ずしもそうではありません。

府税事務所に聞いてみましたら、

「新築一棟売マンションを購入する場合、全戸未入居の状態であれば、軽減措置が受けられるけれども、賃借人付の場合は中古と見なすので不動産取得税の課税対象となります。」との回答でした。

尚、中古の一棟売マンションは軽減措置を受けることができないので、不動産取得税を支払うしか道はありません。

収益マンションを購入した場合や、賃貸用アパートを建築した際の不動産取得税は必要経費として扱います。(印紙税・登録免許税も必要経費扱いです。)

但し、消費税は、建物等の取得費用に含めます。

《ちょっと寄り道》

婚姻期間が20年以上の夫婦間における配偶者控除の制度を利用して、不動産を贈与(評価額で2000万円まで無税となる特例)する場合、贈与税は無税であっても不動産取得税は課税されるのでご注意ください!

 

【固定資産税】

一棟売マンションを購入した、賃貸マンションを新築した場合は、固定資産税は直ぐには掛かりません。
固定資産税は毎年の1月1日に不動産を所有している人や法人に課される税金です。
でも、一棟売マンションを購入すると、不動産取引の慣習として売主と買主が決済日を境にして、固定資産税を日割り按分します。

売買契約の際、固定資産税・都市計画税の取り扱いについて”東京と大阪”ではその基準とする日が違うことが多いのですが、最近では大阪でも東京の慣習に則って1月1日を基準日にするケースも珍しくなくなってきました。
■東京⇒1月1日から12月31日  ■大阪⇒4月1日から翌年の3月31日

固定資産税の計算式
固定資産課税標準額(注1)×標準税率1.4%=納税額
≪都市計画税=固定資産課税標準額×最高0.3%≫
(注1)
固定資産税評価額と固定資産税課税標準額とは、似たような感じですが実は全く違います。
固定資産税評価額は、お役所の決めた時価で、3年毎に評価を見直します。
この前は2015年でしたので、次回は2018年に評価替えが行われます。
おおよそ公示価格の7割程度とされています。
固定資産税課税標準額は、本来の課税標準額と前年の課税標準額を比較し、その乖離具合によって課税標準額を少し調整する仕組みになっていますので、納税者にとってもすごく分かり難いものです。
課税標準額は前年適用価格の1.15倍を上回らないことになっています。
また、課税標準の特例というのがあって、これが新築アパートを建てたりする場合、相続税対策に加えて有効な節税策のひとつとしてセミナーなどで取り上げられるものです。

住宅用地の課税標準の特例

住宅用地の区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地
(200㎡以下の部分) 固定資産台帳登録価格の6分の1 固定資産台帳登録価格の(6分の2=)3分の1
一般住宅用地
(200㎡超える部分) 固定資産台帳登録価格の3分の1 固定資産台帳登録価格の3分の2
※固定資産登録価格とは、固定資産税課税標準額ことです。

その他、免税点の特例や新築住宅の税額控除の特例(注2)など、税金については様々な特例や解釈がありますので、必要に応じて税務署や税理士などに確認する必要があります。

(注2)
新築住宅の固定資産税の減額措置…平成30年3月31日までに新築された住宅用の家屋にかかる固定資産税については、一定の要件にあてはまる場合に、住宅部分(120㎡までの部分に限ります。)の税額の2分の1の額が減額されます。(都市計画税を除く)なお、認定長期優良住宅を新築した場合は、別途用件が異なります。・・・大阪市HPより抜粋
【対象となる新築家屋の用件】
■床面積用件・・・50㎡以上280㎡以下
※一戸建以外の貸家住宅の場合は40㎡以上…①共同住宅などで屋内にある廊下・階段・エレベーターホールなどの共用部分がある場合は、この部分の床面積を各戸の床面積の割合に応じて按分し、按分後の各戸あたりの床面積で上記床面積用件を判定します。②店舗付住宅などの場合は、住宅部分の床面積が2分の1以上となるものに限られます。
■減額される期間・・・3階建て以上の耐火住宅・準耐火住宅は、新築後5年間、それ以外の住宅は新築後3年間

【固定資産税の日割り按分額に消費税がいる?】

「マンションってどうよ?」っていうサイト内「専門家に聞く!」のコーナーは、マンション購入における悩みや不安に、100人の専門家から無料で相談ができるサービスありますが、次のような質問が寄せられていました。

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《質問》 固定資産税・都市計画税の購入者負担に対する消費税について
中古の一戸建を購入しようと考えているのですが、固・都税の清算額について、建物に対する固・都税の購入者負担額に対し消費税がかかっているのですが、一般的に固・都税の清算を行うさいに建物に対する負担額には消費税が課税されるものなのでしょうか?
精算金とはいえ、なんか税金に税金がかけられている気がしてどうも納得がいきません。教えて下さい。

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個人住宅の場合は数万円の問題でしょうから、それで資金計画が大幅に狂ったりはしないとは思いますが、誰しも必要のないお金は1円でも払いたくはありません。
また事業用不動産などの大型物件では固定資産税が数百万円とか、物件によっては大きな金額の場合もあるので、取引上大きな問題であります。
ご存知のように固・都税は毎年1月1日現在の所有者に課税されますが、年(注2)の途中で物件を売ってしまうと、決済日を境に一年間の税額を日割して買主は売主に自分の負担相当額を支払います。
この質問では、案分した税金相当額に消費税が加算されていて、税金に税金がかけるのはおかしいということです。
誠に自然な意見です。
我々は普通そう考えるはずですが、税の専門家・国税庁は違います。
「固定資産税と固定資産税精算金は似て否なるもので、固定資産税の納税義務者は1月1日の所有者であって、その精算行為は売買の当事者の問題であって、売買の一部であり、当然消費税の課税対象=譲渡所得(注3)になる。」という見解です。

消費者の方もそこまで知っている人は少ないでしょうし、実は不動産業者でも知らないで取引している人もいます。
(注3)
「譲渡」とは、売買・交換・代物弁済・現物出資・収用など資産の所有権が移転する一切の場合をいう。譲渡所得は、その資産の譲渡による所得のこと。

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《回答》 回答者:野澤 裕二
課税されると考えて下さい。
私も最近税務署に再確認したのですが、そう云う見解でした。
消費税に関する通達10-1-6とかいうのがあって、そういうことになっているとのことです。
御存知のように固定資産税はその年の1月1日現在の所有者に課税されますので、その年の途中で所有者が変わっても課税対象とされている人は変わりません。
固・都税の精算により買主が売主に支払った金銭は譲渡所得の対象になりますので、税込で支払わない限り消費税が別途かかります。
どうも腑に落ちないのですが、残念ながらそういうことになっています。

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【固定資産税の非課税・減免・免税点】

固定資産税には所有者の事情・利用方法によって非課税・減免・免税となることがあります。
例えば、私有道路として通行の用に供している場合、非課税になったり、減額されたりすることとなります。

【私有道路の課税上の取扱いおよび認定基準】…大阪市HPより
私有道路の区分        公共の用に供する道路    公共用道路に準ずる道路     その他の道路
課税上の取扱い           非課税            0評価        10分の1評価
公道から公道に通じている       ◎              ×             ×
道路幅員1.8m以上           ◎              ×             ×
他人に貸付していないこと       ◎              ◎             ×
建ペイ容積率に敷地不算入       ―              ◎             ◎
通行禁止・制限していない       ◎              ◎             ◎
通行禁止標識がないこと        ◎              ◎             ◎
門塀・柵がないこと          ◎              ◎             ◎
荷捌き物品販売していない       ◎              ◎             ◎

非課税の対象は、公園・学校施設・社会福祉施設などがあります。
減免は市などの条例で、固定資産税が免除・減額されることで、公民館・運動広場・火災にあった家屋がありますが、有償のものは対象となり難い。
免税点は金額が低くて、同一区内で所有する土地・家屋・償却資産のそれぞれの資産の税額を算出する基礎となる課税標準額の合計額が、次の額に満たない場合には、課税されないことを言います。                      土地…30万円 家屋…20万円 (償却資産…150万円)

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