ご承知だと思いますが、契約書を作成しなくて口頭の合意であっても売買契約は成立します。不動産売買の場合、一般的に高額であるし、すぐに消滅するようなものでもないので、将来に渡って権利関係が証明できる必要があります。
書面化しておくと、「言った、言わない」というようなリスクもなくなります。
このように不動産売買契約書を作成する意義は、「紛争の予防につながる」ことです。
【仲介業者のトラブル】
売買契約書を作成する人は、ほとんど不動産仲介業者や売主である建売業者やマンションデベロッパーなどの不動産業者だと思います。
不動産業者は一から契約書の条文を作成すると大変ですから、全日や宅建協会などの大手の不動産組織に加入している場合、先ずは標準書式の契約書を使います。
標準書式の契約条項とは違った内容の合意がなされている場合は、特約条項にその合意内容を追加で記載します。
ところが、いわゆる大手の不動産業者や老舗の不動産業者ではオリジナルの売買契約書を作っている場合があります。
実はこれが相手方の不動産業者にとっては厄介なのです。
標準的な条文ではないので、表現が独特でするので理解するのに苦労します。
この独特の表現を他の表現に換えようとすると、絶対に代えようとしないので小さなバトルになったりして、こんなことで時間を取られるのは本当に嫌なのですよ。
【契約者のトラブル】
また次に問題が発生する場合もあります。
数十年前であれば、契約書や重要事項説明書もA31枚で終わっていた時代もありました。
現在、そんな売買契約書は先ずお見かけしませんね。
それどころか、売主と買主の双方が例えば境界確定や越境物・残置物の扱い等の問題などで自分に有利になるように主張することも多く、仲介業者がその調整を上手に出来ないと売買金額は合意で来ていたにも関わらず、契約自体が成就出来ないなんてこともあります。
【知識不足はトラブルじゃない!】
売買契約の締結を断ったところ、売主から「買付証明・売渡証明の取り交わしにより、売買契約は既に成立している。預け金は手付金になっているから没収する」などと主張される話もありますが、これ自体は真のトラブルではありません。単なる売主の知識不足です。