確定申告や決算を経験した人なら判ると思いますが、「所得税」や「市府民税」も負担に感じるのですが、「消費税」はもっと重く感じる税金です。
今から10年ほど前、2010年前後に流行した「マンション建築に伴う建築費にかかった消費税の還付を受ける方法」という税制を逆手に取った方法がありました
基本的な考え方は、つぎのような感じでした。
マンションのオーナーは、賃料収入が非課税なので消費税の課税業者ではないのですが、自動販売機で少しの売り上げがあればそれで消費税の課税となって、申告によって還付されるというスキームでした。(下記イメージ参照)
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【消費税還付のイメージ】
土地があってマンションを建築する際、建築費(1億円とする)には消費税(10%)がかかる(1000万円。)住居としての家賃には消費税がかからないが、家賃収入が得られない時点で、自動販売機で課税収入(20万円…消費税2万円)を得ると、差し引きマイナス(1000万円―2万円)となるので消費税還付が受けられるというストーリーが出来上がる。
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もともと、消費税が創設された平成元年4月当初は、住宅家賃も「課税売上」だったのですが、家賃に消費税を上乗せするのが難しいという業界団体からの要望もあり、平成2年10月以降は住宅の家賃は「非課税売上」に改正されました。
その後、消費税の納税を逃れる為に、還付を受けた後3年の課税割合が著しく減少したりすると還付を受けた消費税を遡って納付することになったり、繰り返し新会社を設立したりして課税事業者認定(基準期間)を逃れたりするケースに対しては前事業年度の6ケ月間の課税売上(1000万円超)を見て課税するようにしる税制改正もありました。
最近では、法人で事業として「金」の売買を繰り返し行って課税売上を確保して、消費税の還付を受けるなんて荒業も流行っておりました。
税務署からすると「過度な節税」は封じ込める制度を創生せざるを得なくなり、それで今回の税制改正となったようです。
≪令和2年度税制改正≫
端的に言えば、「マンション(建物)の消費税還付をさせない」ということです。
原則として、今年(令和2年)の10月1日以後に(1000万円以上)マンションの取得または新築する場合、(不動産賃貸業以外の)法人は消費税の還付を受けることが出来なくなる。
但し、新築する場合は令和2年3月31日までに契約していれば、建物に係る消費税の還付を受けることが出来ます。※完成時期の期限はありません。
中古物件を購入して、「消費税還付を受けたい」方は、令和2年9月30日までに物件の引き渡し(=決済)を受けて下さい。
また、事務所・テナント物件は従来通リの方法です。
今は民泊で宿泊客を泊めている部屋を、賃貸マンションに変えて賃料を得る場合は、課税売上→非課税売上になりますが、このように取得から3年以内に転用した場合は、還付の調整をするようです。
例えば、1年以内だと全額返還、2年以内だと2/3返還、3年以内だと1/3を返還になるようです。
税制はとても複雑で解りにくいし、ころころと改正や特例がなされるので詳細なところについては税理士さんにお尋ねください。
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