昨年12月に大阪市のキタ新地にほど近い雑居ビル内のクリニックで起きた放火殺人事件、あれから約2ケ月が経ちました。
放火した犯人はガソリンを撒いて火をつけたということですが、25人の亡くなられた方たちは火傷ではなくて煙を吸ったりして一酸化炭素中毒が死因だったそうです。あの建物は「階段がひとつで、1~2階以外の階に不特定多数の人が出入りするような店舗や飲食店・物販店がある建物=特定一階段等防火対象物」というものでした。
大阪市消防局の立入検査数は5480ケ所、その内の7%の376ケ所に階段や避難口に邪魔になる障害物があったり、防火扉付近に開閉を妨げるものが置かれていたりしていたということです。
事件直後は、ビルのオーナーもテナントも気をつけていますが、しばらくすると気持ちは緩んでしまいますので、この時点で“7%”と言う数字は結構高いものと感じました。
以前にわたしも、商業ビルの管理業務をしたことがあるのですが、今回の雑居ビルと同じような規模の建物でした。
非常階段の踊り場にくつ箱を置いたり、専用部分が徐々に荷物が増えてくるとどうしても共用部分に私物やストックする品を置いてしますのです。
ひどかったのは、従業員の飼っている小型犬を非常階段の手すりにつないでいるなんてこともありました。
注意しても本人は悪いことだと思っていないというのが厄介でしたね。
注意する→また置く→引込める→また置く→注意する→また引込める…の繰り返しでした。
消防署から注意してもらう手もあるのですが、そうすると目を付けられるので、法定点検以外の時もビルのオーナーに是正勧告みたいなきつめのお咎めがあるので、それは避けたいという意識も働いてしまいますし、管理会社としての怠慢というイメージも避けたいという気持ちもありますから。
今回の事件は、ふだんは気にしない非常階段や防火扉ってすごく大事なんだと改めて思い起こしました。
複数のテナントが入るビルに火災が起こると、建物全体に火煙が流れますので、ビルのオーナーやテナントとそこで働く従業員は運命共同体だという意識が必要だと思います。
日ごろからの心掛け、行動ってすごく大事ですよね!
※令和4年2月28日に総務省消防庁は新たに発表しました。先の大阪の立ち入り検査同様の建物が対象ですが、全国の消防本部が各地の雑居ビル約3万棟に立ち入り検査を実施した結果、約13.3%に避難通路に避難の障害になる物が置かれていたという。防火戸の周囲に閉鎖の妨げになるものが置かれていたケースも5%あったそうです。感覚的にはこの数字が実態に近いような気がします。
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