不動産ナマ知識/『特約条項』(売買)の話

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日本の不動産業者の殆どは、全国宅地建物取引業協会(宅建)か全日本宅地建物取引業協会(全日)に加盟しています。
その理由のひとつには、不動産業を開業するには宅建の免許はもちろん、事務所の手配をはじめとした開業資金として1000万円の供託金が必要です。
宅建や全日に所属すれば60万円の支払いで済むため、開業資金の負担が軽減できるし、法定研修などでタイムリーな講習を受けることが出来ます。
不動産税制や判例等は間違った知識を持ったままだと、不動産取引をする際に大きなトラブルに繋がりますので、不動産業者としては日頃からこうした講習に参加することはとても重要なことになります。

■標準的な契約書条文■

元々両団体とも”売買契約書”や”重要事項説明書”などのフォーマットが、サイトからダウンロードして使用できるため、書類作成の手間が随分と減ります。
ただ、売買契約書としてダウンロードできるのは、標準的な条文だけです。
不動産取引には売主・買主の当事者が合意した独自の契約内容と言うものが頻繁に出てきますので、標準的な契約書の条文以外にオリジナルの『特約条項』があることは半ば当たり前のことであり、且つ、重要な部分でもあります。。

 

■『特約条項』の意義■

不動産の契約は当事者同士の同意内容を網羅した書面です。
契約当事者が特に希望した契約条件が別途出てきたとしても、なんら不思議な問題ではないし、むしろその方が自然だとも言えないこともありません。
売買契約であると、賃貸契約であろうと、標準的な条文と異なる取引条件というものは、契約書の中に記載しておく必要があります。
昔の契約書は、契約書の条文そのものを二重線で抹消し訂正印を押したりし、または、追記・修正したりする方法が多かったのですが、現在は標準的な契約条文の最後に『特約条項』として追記する方法が一般的です。

 

■『特約条項』の例■

それでは具体的な例文で、『特約条項』ってどんなものなのか見てみましょう。

□「地積更生手続き」の特約

最近の売買契約では、売主が実測測量を済ませているか、未了であれば決済までに完了させるという契約が多いのです。

その実測面積が登記簿記載の面積と異なる場合、買主が売主に地積更生の登記を行うことを特約で縛る条項がこれにあたります。

実情は地積更生までは求めず、隣地の筆界確認書・接道している官民境界明示書を取得するという特約の方が多いと思います。

 

□「更地渡し」を求める特約

この特約はよく見かけるものです。

売主が取引対象の土地の上に建っている古家などを、引き渡し日(≒決済日)までに撤去し既存建物の滅失登記を完了させて、更地にして買主に引き渡す内容を記載するという特約です。

その費用を売主が負担する場合が多いのですが、中には買主負担で実務を売主が実行する場合など当事者間の合意内容はケースバイケースであります。

 

□「立ち退き」についての特約

賃借人付の不動産(古アパート等)という場合や、売主やその親族などが居住している場合(相続物件等)、空き家にして引き渡すということが多々あるものです。

青空駐車場なども同様です。

「売主は、本物件の賃借人を第〇条〇項の引渡日までに、売主の責任と負担により本物件から退去させるものとする」という特約となります。

 

□「越境物についての確認」についての特約

となりの家の庇が敷地の上に掛かっている。

こちらの敷地にある柿や桜の木の枝がお隣の塀の上を越している。

家の壁に設置してあるクーラーの室外機が少しだけどお隣の方へ飛び出ている。

家の基礎が地中で隣の敷地まであることが分かった。

奥にある家の排水管が我が家の敷地を横断していた。

など、昔はおおらかなもので、50年前にお隣のお爺ちゃんと故人となったお父さん同士が口約束で承諾したようなことを今も引きづっていることがあります。

また、目視で分かる場合もありますし、土地の測量をした時に初めて分かったなんてこともあります。

特約の種類は2つです。

  • 越境物を承諾し異議を申し立てないし、金銭で解決するなら幾らか明記すること。
  • 引き渡しまでに隣地の所有者と話し合いの上、それを撤去するか、将来建替えやその他のタイミングで撤去することを約束する合意書を取り交わすこと。

 

□「建築確認・開発許可」が得られなかった場合の解除

買主の購入目的が分譲マンションや建売住宅などで、契約から決済までの間に建築確認申請や開発許可申請の手続きを行いたい場合、もし何らかの理由でその許可が得られないということが判明した時には、売買契約を解除できるという特約を結ぶケースがあります。

その場合、契約書上の違約金の規定を適用せずに、売主は受領した手付金を無利息で買主に返還するとなどという特約を付け加えるケースもあります。

 

□「故人の名義の不動産」を売却する時の特約

相続物件の場合、被相続人の名義のまま対象物件を、第三者に売却することが決定したなんてことがあります。

その場合、「本物件の登記上の名義が被相続人〇〇〇の名義であり、本物件は被相続人〇〇〇の相続人間の遺産分割協議により売主が取得する予定になっていることを確認します。売主は第〇条の残代金支払・移転登記手続の日までに、本件不動産の名義を相続を原因として売主に変更するものとする。」

勿論、遺産分割の合意書に基づき相続人数名の連名で契約して、中間省略しても不動産の売却はできます。

こんな風に、『特約条項』の内容はいろいろありますが、他にも売主・買主の都合により細かな内容を記載して、後日揉めることがないようにしておくことが『特約条項』の目的です。

契約書の“胆”の部分でもありますので、もちろん本文である契約書条文も大事なのですが、『特約条項』はより深く理解することが大事です。

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